有働由美子、久保純子、住吉美紀、膳場貴子、井上あさひ、杉浦友紀、桑子真帆、和久田麻由子など、数々の人気女子アナを生んできたNHK。地方局からスタートするNHKアナにとっての「出世コース」とは何なのか。1981年にNHKに入局した堀尾正明氏(現フリー)が解説する。
「男性と女性で違いはあるでしょうが、まず地方から7~8年以内で東京アナウンス室に異動、朝や夕方のサブキャスターに任命されてニュース畑に進む。これが王道の出世です。やはり『おはよう日本』か『ニュースウオッチ9』。朝か夜の顔になるということは、NHKの顔になるということですから。そこで顔になれた人が紅白の司会などに抜擢される」
昔はさらにナレーションや朗読といった仕事で自身の名前を売るケースが多かったという。またスポーツニュースを担当するアナにとっては、「4年に1度の五輪の現地取材は局のスポーツの顔ということ」(堀尾)だという。近年は「バラエティ番組で頭角を現わすケースが増えた」と女子アナウォッチャーの丸山大次郎氏が語る。
「『ブラタモリ』の開始です。別名“エースアナ養成所”と言われる番組で、久保田祐佳アナや近江友里恵アナなどの知名度を飛躍的に上昇させた。特に紅白の司会も務めた3代目の桑子真帆アナは頭ひとつ抜けた存在になりました」
昨年の紅白で総合司会を務めた和久田麻由子アナは異例の出世コースを歩んでいるという。
「彼女は岡山放送局に赴任するもわずか2年半で東京に呼び戻されて『おはよう日本』のキャスターに抜擢。最近は『Nスペ』に紅白とクボジュン(久保純子アナ)に近い起用のされ方をしています」(同前)
NHKではニュースもバラエティもできて初めて出世の道が見えてくるようだ。
【プロフィール】
ほりお・まさあき/1955年生まれ、埼玉県出身。1981年にNHKへ入局。『NHKニュース10』『サタデースポーツ』などを担当。五輪メインキャスターや「第55回紅白歌合戦総合司会」も務めた。2008年に退局、フリーに。
●取材・文/河合桃子 写真/ロケットパンチ
※週刊ポスト2020年8月14・21日号