「このパンデミックは100年に一度の健康危機だ。影響は今後数十年に及ぶだろう」。WHOのテドロス事務局長は8月1日、新型コロナをめぐって1月末に宣言した「緊急事態」の継続を決定。しかも過去6回出した緊急事態宣言のなかでも、今回がいちばん深刻だという認識を示した。
折しも日本では感染が全国的に拡大し、8月2日には新規感染者が5日連続で1000人を超えた。東京都は3日から酒類を提供する飲食店やカラオケ店に午後10時までの時短営業を要請し、沖縄や岐阜など、独自の緊急事態宣言に踏み切る自治体も現れた。
第二波の脅威に怯える人がいる一方で、「感染しても重症化しないから大丈夫」という意見も目立つ。
実際、7月中の感染者総数は約1万7600人で、国の緊急事態宣言が出された4月中の約1.4倍に達するが、死者は計39人で4月中の計422人から10分の1以下に減った。
厚労省の発表をもとに、本誌・女性セブンは4月と6月、7月のある日の感染者の本当の内訳を調べた。そこからわかったのは死亡者、重症者の割合が4月から圧倒的に減少していたことだ。医療現場からは「4月と比べるとまったく別のウイルスのようだ」との声が聞こえる。そのため、専門家や有識者の間でも、「ウイルスの変異で重症者が減ったので、たとえ陽性者が倍、倍で増えても心配いらない。コロナはただの風邪だ」という声が増えている。
とはいえ、この8か月間を振り返ってほしい。昨年12月に中国・武漢でウイルスが発生した後、専門家は「国内で感染が広がる危険性はほぼない」と国民に冷静な対応を求めた。感染が拡大してからも「ウイルスは暑さに弱く、夏になれば収まる」といわれた。しかし、どちらも現実は大間違いだった。
新型コロナという未知のウイルスに対し、思い込みに基づく“楽観的観測”は、まったくアテにならない。
◆新型コロナウイルスは不安定で変異しやすい
感染が再び拡大している新型コロナウイルス。の背景には、人の動きの活発化があることは間違いない。他方で囁かれるのは、「ウイルスの変異」だ。
「アメリカの研究グループによると、現在の欧州株ウイルスは初期に比べて感染力が3~6倍とされます。また別の研究では、感染力が9倍に達したとの報道もあります」(全国紙科学部記者)
その影響は日本にも及ぶと考えられる。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんはこう話す。