観光地としても人気が高い、沖縄県の宮古島と石垣島で新型コロナウイルスのクラスターが発生した。続けて西表島でも、石垣島のクラスターから派生して感染者が確認され、離島への広がりが現実になりつつある。沖縄では玉城デニー知事の会見での発言をはじめ、様々な場面で繰り返し医療体制が脆弱な離島への移動自粛を呼びかけられてきたが、沖縄での新規感染者数が一日あたり100人を超えてしまった。ライターの森鷹久氏が、離島で暮らす人たちの表では言えない本音についてレポートする。
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沖縄県は、県内の新型コロナウイルス感染者数増加により医療機関、病床が逼迫する恐れがあることから独自の「緊急事態宣言」を7月31日に発出した。那覇市内の飲食店への時短営業の要請、特に感染拡大が著しい那覇市松山地域の接待・接触を伴う遊興施設については休業の要請を、不要不急の外出、感染者が急増している離島への渡航も自粛するよう呼びかけている。多くの県民が不安を抱く中、複雑な感情を胸に秘めている人たちがいる。
「夏休みは東京や大阪、あとは名古屋のお客さんが7割くらい。東京の人はほぼダメ、他も激減。今いるお客も、外に出るにも泥棒みたいにしてコソコソしなきゃいけないし、観光施設はお休みだし、慌てて内地に帰ったという人もいます。我々への補償はないでしょうし、かといって、客に来てくれとも言えないし」
沖縄本島中部エリアあるペンションオーナー・佐喜真修さん(仮名・60代)は、大声では言えないけれど黙っていられないと、思いの丈を語ってくれた。行政やマスコミは、離島である沖縄の医療体制の脆弱さを訴えるもの一色だが、彼の話す内容は、観光立県の沖縄において、コロナを怖れる気持ちと同様、これもまた県民の偽らざる本音であろう。折しも夏の観光シーズンのど真ん中、例年であれば今が一番のかき入れ時なのである。
一方、沖縄の某離島にある居酒屋経営・木下勇さん(仮名・40代)は、同地の中でも意見が真っ二つに割れていると話す。