政権がコロナに苦しむ人々の声を無視し、政治を私するのは権力の暴走だ。それを止めるには国民が“武器”を取って立ち上がるしかない。
民主国家で国民に認められた最も強力な武器こそ、「落選運動」である。憲法学者の上脇博之・神戸学院大学法科大学院教授が語る。
「落選運動とは問題のある政治家を当選させたくないという表現活動であり、憲法で保障されている表現の自由、言論の自由に含まれる。民主主義において権力の暴走に歯止めをかける方法として可能性を秘めている。
その「落選運動リスト」にあげられるのは、まず何と言っても今回のコロナ対応で失敗した首相側近の大臣たちだ。「アベノマスク」担当の加藤勝信・厚労相とGo To キャンペーンなど経済対策担当の西村康稔・経済再生相だ。いずれも首相に重用されたものの、国民難局を政治利用しようとする姿勢が目立った
また麻生太郎・副総理は東京の感染者数が最多記録を更新していた7月16日、都内で参加者1000人規模の盛大な麻生派資金集めパーティを開き顰蹙を買った。国民が困っている中、私腹を肥やしていたのだ。
さらに「落選運動リスト」にあげられるのはスキャンダル大臣たちである。昨年の参院選で多額の現金を配った選挙買収容疑で逮捕された河井克行・前法相と妻の案里夫妻、香典問題で閣僚を辞任した菅原一秀・前経産相はいずれも安倍首相や菅義偉・官房長官の側近として重用されてきた政治家だ。
では、「落選運動」は具体的にどのように展開されるか。もっともシンプルなやり方は、「○○議員を落選させよう」とネットなどで呼びかけたり、対象の政治家をリスト化して賛同者を広げていくやり方だ。