新型コロナは感染力が強いうえ特効薬やワクチンがなく、重症化すると死のリスクが高くなる。
一方で感染しても重症化せず、無症状や軽症で治るケースも数多く確認されている。感染しても30~50%は症状がないという報告もある。
そうしたなか、愛知医科大学病院感染症科の三鴨廣繁医師は、「無症状や軽症で済んだ場合でも安心はできません」と指摘する。
「新型コロナは症状が回復してから、様々な後遺症が生じると報告されています。重症から回復した人はもちろんのこと、重症化する前に体内からウイルスが消えた人も油断は禁物です」
今年7月、米国の医学誌『JAMA』に掲載されたイタリア・パドヴァ大学などの研究では、発症から4週間経過した軽症患者113人のうち、55人(48.7%)は味覚または嗅覚障害が完全に回復したが、46人(40.7%)は症状が改善したものの完全には良くならず、12人(10.6%)は症状が変化しないまたは悪化していた。
「味覚障害や嗅覚障害の後遺症は、ウイルスが神経系にダメージを蓄積することで生じると考えられます。最近は、新型コロナが物忘れを進行させるとの指摘があり、高齢の患者は後遺症として認知症が進み、中年層でも認知障害が進行する怖れがあります」(三鴨医師)
※週刊ポスト2020年8月14・21日号