新型コロナ感染拡大対策で批判が集まったのが「パチンコ店の行列」だ。兵庫県では知事による休業指示が出されたが、神戸市内の3店舗は営業を続けた。店名が公表された同一グループ「フェニックス」系列の3店舗には、かえって客が殺到。休業指示に罰則規定がなく、応じない店が利益をあげる構図となった。
その後、業界は“独自制裁”に動いていた。兵庫県遊技業協同組合は組合定款の除名事由「犯罪その他信用を失う行為」にあたるとして、5月7日付で3店舗に脱退を勧告。同組合の説明。
「勧告に対し、当該ホールは“営業継続は正当な行為。自ら脱退することはない”と回答があった。そのため7月10日の定期総会で、除名処分の是非を議案とする臨時総会の開催を決めました」
フェニックスの店舗に取材を申し込んだが、「店長が不在」とするのみ。兵庫県のパチンコ店のオーナーはこう話す。
「組合から除名されれば大変。行政関連を含めた業界の情報が入らない。パチンコ店は認可制で、開業には警察署に営業許可が必要など、“お上”の顔色を窺う必要があるが、今回の3店舗には、労働基準監督署や税務署の調査も厳しくなるのでは。休業指示に従った店はその間、ビニールシート設置など感染防止対策を講じた。一緒に扱われて不満が出るのは当然だ」
業界内の暗闘は続く──。
※週刊ポスト2020年8月14・21日号