ネット検索することを大手検索エンジンGoogleの名前から「ググる」といい、一昔前は、ググるとすぐ目的の情報にたどり着けた。ところが、最近は何を調べても、トレンドブログやまとめサイトと呼ばれる真偽のほどが怪しいものばかりが検索上位を占めるので、目的の情報にたどり着くのに時間やコツが必要となった。俳人で著作家の日野百草氏が、今回は、炎上の自作自演までしてビジネスにいそしむ、50代のまとめサイト管理人についてレポートする。
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「誹謗中傷で食ってる俺から言わせてもらうと、この程度で死ぬほうが悪いんですよ」
練馬のファミリー向けマンション、小島高也さん(50代・仮名)は歯に衣着せぬ物言いで、私にベラベラと持論をまくし立てる。幸せそうな家族ばかりが出入りするマンションにアングラ系プロダクションがあるとは誰も思うまい。中小出版社、零細編プロの連中というのは本当にヤバい人材のオンパレードだが、オタク界隈のショップや通販屋、グッズ関係の元社員というのも信じられない人間の宝庫だ。とくに二次元、三次元問わずアダルト関係。私もこの辺のコネクションはツテをたどるのに大変重宝している。小島さんもその一人だ。
「ネットの本質ってね、食うか食われるか、殺すか殺されるかだと思ってます。人とつながる優しい世界とか、そんなの信じてる時点で向いてない。優しい世界ですけど、俺みたいな悪人に優しい世界なんです」
悪人と自負する小島さんはこのマンションの一室を事務所にして、いわゆる「まとめサイト」を運営している。まとめサイトとは便宜上の呼び方で明確な定義はないが、小島さんのまとめサイトは匿名掲示板やSNSを恣意的にまとめて報道機関のニュースのように装ったり、アニメやゲームなどの放送や発売があるたびあたかもニュースのように仕立て上げる。もちろん取材対象やコンテンツ元の許可など一切とらず、自分のやりたい放題に記事を作り、検索結果の上位を狙ったSEO対策を繰り返しながらひたすらネットの海に垂れ流している。訴えられたことはもちろん、警察のやっかいになったこともあるそうだ。その辺を武勇伝のように語っていたが、本当のところはどうだろうか。
「事件とか事故もアクセスは伸びますけど、やっぱり芸能とオタクが強いですね。とくにスキャンダル」
と、偉そうに記者然と語るが、小島さんの記事は全部パクリの泥棒だ(はっきり言わせてもらう)。小島さんはオタク系ネットサイトのスタッフや同人ショップの通販サイトなどアキバ系の仕事を転々とした後に開業した。一応、肩書は代表取締役。一人社長だが会社を経営していて、執筆の一部は小島さんが「100円ライター」と呼ぶお小遣い稼ぎ程度の素人に書かせるそうだ。1文字1円にも満たない、そんな金額でそんな文章を誰が書きたいのかと思うが、それを仲介するクラウドソーシングサービスもあり、このコロナ禍もあって二束三文でも書きたい素人は見つかるという。