『愛の不時着』や『梨泰院(イテウォン)クラス』、アイドルオーディション番組『Nizi Project』など、今日本は第四次韓流ブームが起きている。
熾烈な競争を勝ち抜き、現在はK-POPアイドル「JBJ95」のメンバーとして活躍する高田健太(25才)は胸の内をこう明かす。
「高校1年生のとき、東方神起や少女時代のステージをネットで見て、画面越しにも伝わってくるパワーやエネルギーから『自分のやることはこれだ!』と直感しました。その後、初めて韓国に渡ったのが20才。通帳にはほぼお金がなく、韓国語もまったくわからない。ただ気持ちひとつだけでした。
『コシウォン』という韓国の学生が勉強するために入る2畳くらいの狭い部屋に住んで、無料で食べられるキムチとご飯だけで1週間生活していたこともあります。先が見えず、『大丈夫だろうか』と不安でした」
当時、K-POPを知らなかった家族には反対もされた。幾度となく話し合いを重ね情熱を伝える息子に、母は「デビューするまで帰ってくるな」と厳しい言葉をかけたという。念願かなって2017年に「JBJ」としてデビュー。2018年からは「JBJ95」として活動中だ。
日本とはまったく異なる韓国芸能界の姿勢や文化、国民性の違いには、いまでも戸惑うことがあるという。
「K-POPの魅力はいち早く海外のトレンドを取り入れるところですが、そのため、公演前日にダンスの振り付けがすべて変わったこともありました。こういった大胆さはいいところでもあり、大変でもあります。また、韓国の人は自分の考えを100%きちんと伝える。
ぼくはJBJの活動中も自分の意見を言い出せず、そのせいでぎくしゃくすることもありました。『もっと発信しなければ』と気持ちを改め、いまはまず思ったことを伝えています」(高田)
現在の世界的なK-POPの人気から、同じ道を目指す後輩からの相談も増えたという。高田は「楽しんでほしい」とエールを送る。
「楽しめなかったり、“努力をし続ける努力”ができなければ、結局、続かないので。K-POPのよさは、なんといってもグローバルで、海外に大勢のファンがいること。新型コロナで予定していたアメリカやヨーロッパのツアーが全部中止になりましたが、この状況を乗り越えて、海外のファンに会いに行くことがいまの目標です」
K-POPからもらった勇気を、今度は自分が与えられるようになったことがうれしいと高田は笑顔を見せた。
韓国エンタメに携わる人々はなぜこれほどエネルギーに満ち溢れているのか。芸能界きっての韓国エンタメオタクであるお笑いコンビ・スクールゾーンの橋本稜は言う。
「新大久保で韓国人の店員さんと話をすると『韓国ではいまこんなアイドルがはやっているよ』と気さくに教えてくれます。韓国の国民一人ひとりが、この韓流ブームに誇りを持っている。それが韓国エンタメを後押しする大きなパワーになっているように感じます」
自国のエンタメを誇り、応援する。それは国が新しく発展する原動力として、欠かせないのかもしれない。
※女性セブン2020年8月20・27日号