多部未華子主演のTBS系火曜ドラマ『私の家政夫ナギサさん』(夜10時〜)の快進撃が続いている。視聴率もうなぎ上りで、8月11日放送の第6話では過去最高の平均16%を記録した。ドラマオタクを自認するエッセイストの小林久乃氏が、本作を通じて令和の時代の家事のあり方について考察する。
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ドラマ『私の家政夫ナギサさん』(以下『わたナギ』)が人気である。私の周囲でもおじさまから大学生まで年代問わず見ている人が多く、それぞれに萌えポイントが違うことが面白い。
例えば、40代の男性は「ただ(主演の)多部ちゃんが可愛い!」と言い切る。30代の女性に至っては「大森南朋がおじカワで〜」と、そんな風に家政夫役を愛でている。他にもSNSでよく見るのは、20代の女性からの「出演者のコーディネートが可愛い。参考にしたい」という声。そんな1作品から様々なありとあらゆる可愛い旋風が吹き荒れているという、珍しい現象が起きている。どうやら可愛いは作ろうと思えば、本当に作ることができるらしい。
そんな最中で気になったのは主人公の相原メイ(多部未華子)が、家事代行サービスを利用していることをひた隠しにしていることだ。
家事代行サービス利用を「隠す」心理
まずは『わたナギ』のあらすじを。
製薬会社のMRとして勤務する相原メイ。仕事ぶりは優秀で、若くして部署内のリーダーにも選ばれた。両親のことを思い、結婚に焦る気持ちもあるが、実は全く家事が苦手。その様子を見かねた妹の福田唯(趣里)から紹介された鴫野ナギサ(大森南朋)に、家事代行サービスを依頼することに。ただその事実は周囲には秘密。そしてナギサの存在によって、少しずつ日々の緊張が解れていくようになる──。
メイが家事代行利用者であることを隠している理由に、母親・美登里(草刈民代)からの「専業主婦の自分とは違う、仕事も家事もできる女性になって」という教えがある。子どもの頃からの刷り込みはやはり影響が大きい。だから家事ができないということも、どこかで罪悪感があって話せないのだろう。