再選を懸けた大統領選に挑むドナルド・トランプ氏。その実弟ロバート・トランプ氏が急死したことが報じられたが、彼の死はトランプ大統領一族にとって大きな意味を持つ。7月に出版され大きな話題となっている、姪が書いた一族の“内部告発本”に対し出版差し止めを訴えていたのが、他ならぬ実弟だったからだ。在米ジャーナリストの高濱賛氏が報告する。
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ドナルド・トランプ米大統領の実弟、ロバート・トランプ氏が8月15日夜、入院中のニューヨーク市内の病院で死去した。享年71。死因は新型コロナウイルスではないのか、との噂も出ているが、まだ明らかにされていない。
現職大統領の家族・親族の死去とはいえ、主要メディアは通常、小さく報道するものだが、ワシントン・ポストはじめ米主要紙はロバート氏の死について長文の記事を掲載した。その理由は、トランプ大統領の姪で臨床心理士(博士)のメアリーさん(55)の近著について、出版差し止め訴訟を起こしていたのがロバート氏だったからだ。
トランプ大統領は五人兄弟姉妹の次男。ロバート氏は末っ子だった。ロバート氏は、2016年11月11日、大統領当選祝賀会の席上、「兄を1000%支持する」と叫んで以来、公の場に姿を見せたことはない。
そのロバート氏の名前が米メディアに大見出しで出たのは今年7月。トランプ大統領の長兄フレッド・ジュニアの一人娘、臨床心理士のメアリーさんがトランプ一族の内幕を告発した本を出版した時だった。この本のタイトルは、「Too Much and Never Enough:How My Family Created the Most Dangerous Man」。邦訳は『「世界で最も危険な男 「トランプ家の暗部」を姪が告発』で、9月15日に日本で出版される。
ロバート氏はこの本の出版差し止めの訴訟をニューヨーク連邦地裁に起こしたのだ。出版を一番恐れたのはトランプ大統領だった。ロバート氏は兄のトランプ大統領に代わって(おそらく命じられて)訴訟を起こしたのだ。