コロナ禍に苦しむホテルの生き残り策として「テレワークプラン」を打ち出す施設が増えたが、中にはまったくデスクワークに適さないホテルもある。そこで、ホテル評論家の瀧澤信秋氏に、テレワークに適したホテルの見分け方と、ここなら仕事もはかどるというお勧めホテルを挙げてもらった。
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テレワークという言葉を初めて知ったのは、確か20年ほど前だったと記憶している。日本テレワーク学会という組織があり、役員の方と知り合いになったことからだった。当時インターネットといえばADSL回線の速さに驚いていたころだ。それまではダイヤルアップ接続で、光回線が一般的となったいま思えば隔世の感である。
当時の学会で参加したテーマは「リゾート地で働く」という内容だった。東京のオフィスと行き来する高速交通網や高速回線が前提となる先取的な話題だったと記憶している。
最近、ワーク(労働)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語“ワーケーション”という概念がホテル業界で広まっているが、リゾート地で休暇を取りながら働くという点では共通点も多い。テレワークは快適な場所で仕事をすることで、ひいては人生を豊かにする大きなテーマがあると理解をした。
そんな“テレワーク”という言葉との出合いから20年、まさか新型コロナの感染拡大に関連して再び耳にすることになろうとは想像すらしていなかった。多くの人々が出勤し集って仕事をする場所だったオフィスが、ソーシャルディスタンスの言葉が定着するのと同じくして、オフィスへ出勤しての仕事が忌避される事態となった。
もちろん、現場でなくては成立しない仕事に従事されている方には困難であるが、可能な限り離れた場所で仕事をするテレワークの特性が、コロナ禍におけるワークスタイルとして一躍脚光を浴びた形となったわけだ。
一方で、出勤して仕事をしていたオフィス環境をどの場所なら再現できるのかという課題も露見した。もちろん自宅を選択するのが基本となるだろうが、プライベートスペースを提供する点から「ホテル」という選択も広く認知されることになった。そこにはコロナ禍による宿泊業の壊滅的ダメージから一転、活路を見いだそうとするホテル側の積極的な情報拡散も大きく影響している。