中国東北部吉林省の警察部門のナンバー2が書いた本の内容が「あまりにも幼稚ででたらめ」などと批判を受けたことで、この幹部は更迭され、中国共産党籍を剥奪されるという厳しい処分を受けたことが分かった。幹部は自身の地位を利用して、警察関係の出版社から小学生レベルの本を出版させて、吉林省内の文化施設で自著の販売促進キャンペーンを行ったことで、「警察の名誉を冒涜した」と激しく批判されている。
中国メディアによると、この幹部は吉林省公安庁常務副庁長の賀電氏。批判を受けている著書は『平安経』といい、全部で336ページもの厚い本で、値段は299元(約5100円)。
習近平国家主席の著書である『習近平談治国理政』は全488ページで、その値段は80元(約1360円)であることから考えても、平安経は中国の本としては破格といえるほど高価だ。
さらに、その内容はというと、「すべての年齢の人々を平安にしましょう」という章に始まり、次の章は「新生児を平安に」、「1か月児を平安に」などと続いて「100歳の人々を平安に」などというもので、一般の読者が「あまりにも初歩的でばかにした内容だ」などのコメントをネット上に書き込むと、同署への批判が殺到した。
しかし、昨年12月に同書が中国公安省直属の大衆出版社から出版されると、吉林省公安庁のホームページや地元メディアが、「賀副庁長は法律の博士号を持つ知識人であり、これまでもすでに30冊以上の著書をもつ哲学者でもある。賀氏の著書は中国の学術雑誌で高い評価を得ている」などと宣伝。
さらに、中国共産党吉林省政法委員会や同省宣伝部、同省文化連盟、公安部隊同省委員会、同省長春市党委機関紙『長春日報』新聞社などの公的機関が合同で同書の公共福祉朗読セミナーを開催し、吉林省の著名な専門家や大学教授、詩人ら10人が同書を絶賛した。