東京五輪の来夏開催については、「さらに延期」「そのまま」「中止」など様々な意見が噴出している。日本にとって最良の決断とは何なのか。弁護士の郷原信郎氏(65)は次のように考える。
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多くの日本人が東京五輪開催を期待しており、そのために多くの努力と投資がなされてきました。東京にはいますぐ五輪を開催できる設備が整っていますが、中止となればそれらは全て無駄になってしまう。これは日本にとって大きなダメージです。
五輪は国際協調や新型コロナからの復興のシンボルとして非常に有意義なものです。ただし、来年7月の開催が危ぶまれていることも事実。どうすれば東京での開催を実現させられるか―─そのカギはフランス・パリとの協力にあると考えます。
2024年にはパリ五輪が予定されていますが、フランスも新型コロナで大きなダメージを受けている。そのため五輪に向けた準備も困難な状態です。競技場など施設の建設も難しく、恐らく準備は遅れるでしょう。
しかし、一方の東京には施設が揃っている。スタジアムでの陸上競技など大きな施設が必要な競技は東京で、そうでないトライアスロンやマラソンなどはパリで──。もしそのような形で東京・パリ共催のオリンピックができれば、それこそ新たな国際協調の枠組みを提示できるはずです。
ただし、その時点で感染拡大が収まっていなければなりません。とすれば、パリ五輪が行なわれる2024年に共催するのが妥当でしょう。
2020年開催の東京五輪を目指して練習を重ねてきた選手には本当に辛いでしょうが、彼らのためにも「中止」でなく、合同開催に望みをつなぐべきです。
【PROFILE】ごうはら・のぶお/元検事、弁護士。 郷原総合コンプライアンス法律事務所代表。近著に『「深層」カルロス・ゴーンとの対話』。
※週刊ポスト2020年8月28日号