スポーツ

【アメリカ発】NFLは次から次へと自らの墓穴を掘っている

3年前に始まった選手たちの抗議の膝立ては、今年再び広がっている(AFP=時事)

 世界最大のスポーツ・エンターテインメントと称されることもあるNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)は、他のプロスポーツ同様、コロナ禍で苦しいシーズンを迎えている。シーズン前には、選手とリーグが「コロナ補償」をめぐって対立し、ファンを辟易させる場面もあった。さらに、全米を巻き込んだBLM(黒人の命は大切)運動への選手の姿勢をめぐっても議論が起きた。政治・国際問題に詳しいジャーナリストのPeter Skurkiss氏が、このままではNFLは衰退すると警告する。

 * * *
 NFLは、観客動員、視聴率、収入の3本柱が弱体化して危機に瀕している。全体的に見れば、NFLはすでに繁栄のピークを過ぎており、今後は夢のように発展することはなく、リーグの重要性は薄れていくだろう。

 目下の不調の根底にあるのはコロナ問題だ。その世界的流行に対応して、NLFの試合は今後も無観客か、それに近い状態で行われる。大学のフットボールリーグでも、秋シーズンを中止するところが出ている。現在までのところ、NFLでのコロナウイルス感染者は突発的に発生しているだけだが、予断は許さない。専門家の言うように、このウイルスの感染力が非常に強力なら、NFLは大打撃を受けるだろう。そして、選手、コーチ、サポートスタッフにどのように補償するか、あるいは補償すべきかどうかの議論が起きるはずだ。

 では、来シーズンはどうなるだろうか。コロナ禍で、人々は娯楽に自由に使えるお金が減った。ゲームを見に行けば、チケット代から駐車料金、飲食代などでとことん搾り取られるというシステムに戻ると期待するのは難しいだろう。多くのファンは、「ゲーム・デイ体験」をあきらめて、もっと価値のあるものにお金を使うように変化するのではないか。

 NFLにとってもうひとつの懸念が、同リーグの説教じみた左傾化に憤慨している多くのファンの声だ。これは観客動員だけでなく、テレビ視聴率にも影響するだろう。NFLの「覚醒」とBlack Lives Matter(「黒人の命は大切」運動)の支持によって、どれくらいのファンが疎外感を抱いているかは難しいが、影響は小さくないと思う。あまりにリーグが左傾化すると、娯楽としてのスポーツより自分の信条を守ることを望むという勢力が台頭してくる可能性がある。

 視聴率が低下すれば、広告主も手を引いてリーグの収益はさらに悪化するだろう。そうなった時、各チームはどのようにして、パトリック・マホームズ(4500万ドル)、アーロン・ロジャース(1050万ドル)、フリオ・ジョーンズ(2200万ドル)、アマリ・クーパー(2000万ドル)といったスター選手たちの常軌を逸した給料を支払うのだろうか。

関連記事

トピックス

無罪判決に涙を流した須藤早貴被告
《紀州のドン・ファン元妻に涙の無罪判決》「真摯に裁判を受けている感じがした」“米津玄師似”の男性裁判員が語った須藤早貴被告の印象 過去公判では被告を「質問攻め」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
Instagramにはツーショットが投稿されていた
《女優・中山美穂さんが芸人の浜田雅功にアドバイス求めた理由》ドラマ『もしも願いが叶うなら』プロデューサーが見た「台本3ページ長セリフ」の緊迫
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン
結婚披露宴での板野友美とヤクルト高橋奎二選手
板野友美&ヤクルト高橋奎二夫妻の結婚披露宴 村上宗隆選手や松本まりかなど豪華メンバーが大勢出席するも、AKB48“神7”は前田敦子のみ出席で再集結ならず
女性セブン
スポーツアナ時代の激闘の日々を振り返る(左から中井美穂アナ、関谷亜矢子アナ、安藤幸代アナ)
《中井美穂アナ×関谷亜矢子アナ×安藤幸代アナ》女性スポーツアナが振り返る“男性社会”での日々「素人っぽさがウケる時代」「カメラマンが私の頭を三脚代わりに…」
週刊ポスト
NBAロサンゼルス・レイカーズの試合を観戦した大谷翔平と真美子さん(NBA Japan公式Xより)
《大谷翔平がバスケ観戦デート》「話しやすい人だ…」真美子さん兄からも好印象 “LINEグループ”を活用して深まる交流
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「服装がオードリー・ヘプバーンのパクリだ」尹錫悦大統領の美人妻・金建希氏の存在が政権のアキレス腱に 「韓国を整形の国だと広報するのか」との批判も
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《私には帰る場所がない》ライブ前の入浴中に突然...中山美穂さん(享年54)が母子家庭で過ごした知られざる幼少期「台所の砂糖を食べて空腹をしのいだ」
NEWSポストセブン
亡くなった小倉智昭さん(時事通信フォト)
《小倉智昭さん死去》「でも結婚できてよかった」溺愛した菊川怜の離婚を見届け天国へ、“芸能界の父”失い憔悴「もっと一緒にいて欲しかった」
NEWSポストセブン