第三セクター鉄道会社40社が「御朱印」ならぬ「鉄印」プロジェクトが7月にスタートした。各社の指定駅で取り扱うオリジナルの「鉄印」を、「鉄印帳」の冊子に集めていく旅は、自然と次の鉄道旅へと気持ちをかき立ててくれる。鉄印の旅が楽しめる地方鉄道から4路線を紹介する。
【岐阜・長良川鉄道】記帳/関駅、郡上八幡駅(プリント)
全長72.1キロメートルのうち約50キロメートルを長良川に沿うように走行する。鉄印の鮎のイラストと文言は女性社員の手描き。長良川で群れをなして泳ぐ鮎を列車から見た社員の率直な気持ちが込められている。
【高知・土佐くろしお鉄道】記帳/中村駅、安芸駅(直筆の書き置き)
中村・宿毛線では佐賀公園駅-土佐白浜駅間で、ごめん・なはり線ではあかおか駅―唐浜駅間で太平洋が望める。鉄印は土佐和紙を使用し、沿線の高校教諭が直筆。2路線の駅名を入れた2種類。
【山口・錦川鉄道】記帳/錦町駅(駅でスタンプ&直筆日付記入)
錦川沿いを走る錦川清流線では、夏は川底まで見通せる澄んだ流れを北河内駅-椋野駅間などで楽しめる。鉄印はシンプルなデザインにこだわり、神社仏閣の御朱印に使われるような角印をイメージ。
【熊本・南阿蘇鉄道】記帳/高森駅(駅でスタンプ&直筆日付記入)
阿蘇山のカルデラ内を走り、車窓から阿蘇五岳や田園風景を楽しめる。鉄印には阿蘇の雄大さ・力強さを表わす草書体を使用。熊本地震で被害を受けた立野駅―中松駅間は現在も運休中のため、全線復旧祈願と書き入れた。スタンプの絵柄は、運休区間にある第一白川橋梁を走るトロッコ列車。
鉄印帳の購入と鉄印の記帳は、鉄道会社が指定している駅などに限られる。初版が完売した鉄印帳(2200円)は8月中旬以降に増刷されるのでそのタイミングで購入を。鉄印記帳(300円~)は乗車券の提示が必須。記帳方法は各社異なり、鉄印帳に社員が直接揮毫する会社もあるが、多くはプリントや書き置きに日付を入れての手渡しで、それを鉄印帳に自分で貼る。全40社の鉄印を揃えたあかつきには、シリアルナンバー入り「鉄印帳マイスターカード」を購入できるという特典もある。
※週刊ポスト2020年8月28日号