感染再拡大が収まらない新型コロナウイルス。「感染してるかも…」「実家に帰りたいけど、高齢の両親に感染させるかも…」「不特定多数の人と会う仕事だから感染が心配…」。そんな不安を抱く人のために、自費でPCR検査を受けられる医療機関が増えている。
PCR検査とは、人体から検体を採取し、ウイルスに含まれる特定の遺伝子を増幅させ、調べる検査方法のこと。鼻に綿棒を入れ、喉の奥の粘膜を採取する「鼻咽頭ぬぐい法」がよく知られている。
6月には唾液を使ったPCR検査も認められるようになった。こちらは、検体採取の際の医師への飛沫感染のリスクが低いといわれている。また、唾液検査が認められるようになったことが、PCR検査を行う医療機関が増えた理由の1つだという。現在は検査数が増えて1日あたりの最大能力は5万件に達した。
検査結果は早ければ翌日に出る
PCR検査を行うグローバルヘルスケアクリニック院長の水野泰孝さんは、現状についてこう話す。
「当院はひと月に100人以上の無症状者を検査して、陽性者はゼロです。ただし、かつて相談の目安とされた37度5分以上の発熱がなくても寒気がして普段より調子が悪く、“そういえば先週会食、飲み会をした”などの思い当たる節があるという人は新型コロナを疑うべきです。当院では“味覚がちょっとおかしい”と訴えた有症状者数名に陽性反応が以前出ました」
検査を受けるには、基本的にまず医療機関に電話をして予約する。ホームページやメールでしか予約できない施設もある。
検査当日は、医療機関で簡単な問診票の記入や体温測定などを行う。どの検査法になるかは施設次第だが、唾液法の場合は注意点がある。ナビタスクリニック新宿で検査を実施する、ナビタスクリニック理事長・久住英二さんが説明する。
「水や食べ物を飲み込んだり、うがいをすると、ウイルスが洗い流されて感度が下がる恐れがあります。唾液法の場合は、飲食や歯みがきをせず朝一番に検査をするのが理想的。予約時に検査法を聞いて、唾液法なら最低でも検査の1時間前は飲食や歯みがきを避けてほしい」
採取した検体は検査会社に渡り、多くの病院では翌日か翌々日に結果が判明するという。
「陰性がわかれば、その日のうちに陰性証明書を作成します」(久住さん)
陽性が判明すれば、医師からの連絡を受けた保健所から連絡が来る。住まいの地域にもよるが、軽症や無症状の場合は自宅かホテルで約10日間の隔離生活となる。
ただしPCR検査には落とし穴がある。
「検査でわかるのはあくまでその時点の感染の有無であり、今日陰性でも明日陽性になる可能性は捨てきれません。本来なら頻繁に検査をした方がいいんです。そのためにも国がサポートして、さらに検査体制を拡大すべきです」(久住さん)
PCR検査がいつでも、誰でも、何度でも受けられる米ニューヨークでは、感染者と死者数の減少が見られた。やはり検査は大事なのだ。
※女性セブン2020年9月3日号