臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、今人気急上昇中のお笑いコンビ・EXITについて。
* * *
新型コロナウイルスで多くのガヤ芸人たちの存在感が薄れている中、派手な衣装でユラユラと身体を動かし、“パリピ”的なチャラ男キャラで注目を集めているりんたろー。と兼近大樹からなるお笑いコンビ・EXIT。
初めて彼らを見たのはどの番組だったのか。おそらく昨年前半、まだここまで注目されていなかった頃だ。明石家さんまがMCを務める番組で、兼近がさんまに向かって「おしゃべりシーフードパイセン」と自らが付けたあだ名で呼んだことに驚かされた。
あだ名の意味するところが皆目分からなかったこともあるが、大御所といわれるさんまを前に、臆することなくチャラ男キャラを全開させる兼近に「えっ、いくら番組とはいえそんなこと言っちゃっていいの!?」と思ったのだ。
さんまは口を手で拭いながら、独特の引き笑いをしていた。相方のりんたろー。も彼の横で笑っていたが、ひな壇にズラリと座っていた先輩芸人たちは固まったように瞬時に動きを止め、笑顔が皆一斉に引きつっていた。彼らの醸しだす雰囲気から「とんでもないことを言っている」感が半端なく画面から伝わってきていた。
そんなひな壇の様子はお構いなしに、兼近は「さんまさんが活躍していた頃を、知らないんですよね~」と身体を揺らして笑い飛ばした。さんまがお笑い界でどれほど影響力があるか知らないのか、それとも単に怖いもの知らずなのか、お笑いも世代交代しているのだなと思ったものの、知らないはずがない。それでも例のあだ名を叫んで笑って許されてしまう。そんな不思議な魅力が兼近にはあるのだなと感じたものだ。
その兼近は今、一度見たら忘れられないピンク色の髪に、チャラさ全開で「ポンポンポ~ン」と軽快な言葉を発する割に、「本当は真面目」というギャップのあるキャラがうけている。ある番組では、「状況に応じて視聴者に伝わるよう言葉を選んでいる」とコメント力が注目され、さまざまな番組で物怖じしないストレートな発言や嘘のない言葉で、場をしっかり盛り上げファンの心を掴んでいる。