癖毛は魅力的な個性のひとつでもあるが、その一方で、梅雨の時期などには扱いづらくなることから、悩みを抱えている人も少なくない。1990年代の“安室ちゃんブーム”から2000年代初頭のギャルブーム期には、「ストパー」(※ストレートパーマ)をあて、ツンツンするほどの直毛に伸ばしたヘアスタイルも人気を博した。そんな直毛ブームも収束したように見えるが、それでも癖毛の扱いが楽になるという理由からストパーをかける人は後を絶たない。さらに強い癖毛の場合は、縮毛矯正をセレクトすることになる。
しかし、ストパーや縮毛矯正を続けると毛髪に負担がかかり、また縮毛矯正の場合はパーマやブリーチができないというデメリットもある。こうした悩みに対する一つの解決策として、近年ヘアサロンが提案するのが「髪質改善」や「進化系トリートメント」などと呼ばれる施術だ。
都内の美容室に勤務するスタイリスト歴15年の美容師Aさん(50代)が、こうした髪質改善メニューと縮毛矯正の違いを教えてくれた。
「過去には直毛が流行った時代もありますが、2010年代以降はカジュアルなファッションと相性のよいナチュラル志向、かつ自然な“抜け感”のあるヘアスタイルが人気ということもあり、癖毛も個性として活かすスタイリングが主流です。だから、縮毛矯正をかけ過ぎるのは、今の流行に合わない面もあります。
最近の美容室がよく売りにしているのが、『髪質改善』というキャッチコピーです。代表的なものは『酸熱トリートメント』と呼ばれるものですね。これは第四世代のトリートメントなどとも呼ばれるもので、現在の美容業界のなかでは最新のもの。縮毛矯正と違い、カラーもパーマも、ブリーチ毛でも可能です。
実際には縮毛を伸ばす効果があるわけではなく、酸と熱の力でダメージを改善させることで、まとまりが出て癖が伸びたように見えやすい、というもの。『水素(ミネコラ)トリートメント』や『サイエンスアクア』、『TOKIOトリートメント』、『ストリートメント』などのメニューで提案されていることが多いです。癖が強い縮毛の人には縮毛矯正でもいいですが、ダメージの蓄積による拡がりを抑えるには酸熱トリートメントのほうが安心でしょうね」(Aさん)