世界経済フォーラム(WEF)は、毎年、男女の違いによって生じる政治への参画度や経済状況、教育水準などの格差を表す「ジェンダー・ギャップ指数」を発表している。2020年の報告では、日本は153か国中121位で、先進国の中では最低ランクだ。
ただでさえ女性が“弱者”として扱われる日本社会で、年齢を重ねた女性はさらに生きにくくなる。横浜国立大学教授で社会学者の江原由美子さんが言う。
「日本社会は、若くて楚々とした女性を理想としています。若さと美しさがなくなったら、今度は、なんでも受け入れる“母”のような存在になることを押しつけられる。男性に歯向かい、自分の意見を主張し、理想から離れた存在になると“オバさん”呼ばわりされ、怖がられ、時には笑い者にさえされるのです」
年を重ねれば、若さと同時に美しさも必ず失っていく。すると、若く美しい女性に対する嫉妬や羨望が芽生える。精神科医の片田珠美さんは、こう話す。
「“もう若くないから”と、卑屈になることも少なくない。さらに、若いだけ、美しいだけの女性をもてはやす世の中や、年を取った女性を軽視する風潮に対する怒りも根底にあるでしょう」
8月11日、香港の国家安全維持法に違反したとして逮捕されていた民主活動家の周庭さん(アグネス・チョウ、23才)が保釈され、日本国内で注目されている。流ちょうな日本語を話し、日本好きを公言しているが、人気の理由は別にあるかもしれない。
「日本のメディアでは、“民主の女神”“香港デモのジャンヌ・ダルク”などというもてはやされ方をしています。日本人は、彼女が若くて美しいことにばかり注目している。彼女が年齢を重ねてからも運動を続けていたら、日本ではいずれ“女帝”“女権力者”といった扱いになってしまうでしょう」(江原さん)
日本の芸能界には“西の女帝”と呼ばれる存在が君臨している。上沼恵美子(65才)だ。『NHK紅白歌合戦』では1994、1995年と2年連続で司会を務め、2019年にはゲスト審査員としても出演、『M−1グランプリ』の審査員でも存在感を発揮する重鎮だ。
しかし、そんな上沼に、7月で終了した『快傑えみちゃんねる』(関西テレビ)でパワハラ疑惑が浮上した。
同番組にレギュラー出演するキングコング梶原雄太(40才)に対し、上沼が本番中に“公開パワハラ”をしたのではないかといわれているのだ。いつもの毒舌とは明らかに違う上沼の口撃にスタジオは凍りつき、梶原は上沼と共演する番組をすべて降板。これを受けて、関西テレビ幹部と上沼の間で“話し合い”が持たれた。上沼は「至らない点があるなら直します」と言ったが、10月での“番組卒業”を打診され、半ば“逆ギレ”する形で、番組は打ち切られたのだ。