夏の風物詩と言えばお祭り。しかし今年は、新型コロナウイルスの影響で札幌の「YOSAKOIソーラン祭り」や徳島の「阿波おどり」、8月の東北3大夏祭りである「青森ねぶた祭」「仙台七夕まつり」「秋田竿燈まつり」など、全国各地で中止や延期を余儀なくされている。そんな中、コロナ時代の新たな主流となりつつあるのが自宅にいながら祭りを楽しめる「オンライン祭り」だ。数々のオンライン祭りを主宰してきたオマツリジャパンの営業部長・加藤匠さんに話を聞いた。
全国で年間30万件もあると言われる祭りは、各地域で暮らす人々にとって長い準備期間を経て開催する年に1度の楽しみでもある。コロナの流行でほとんどの祭りが中止に追い込まれる中、加藤さんは、地元の人々の寂しさや悔しさを和らげ、全国に祭りの楽しさを届けられたらという思いから、オンライン祭りを実施している。
「きっかけは、コロナの流行が本格化し始めた3月頃、熊本の『人吉よさこい祭り』がTwitterを使って、疑似的にオンラインで開催したことです。コロナ収束の目途が立たない中、今後はオンラインでのお祭りが主流になると考えました」(加藤さん・以下同)
オマツリジャパンが最初にオンライン祭りを行ったのは、4月の『かなまら祭り』(神奈川県)。ピンクの男性器を模した神輿で街中を練り歩き、子宝や性病除けを祈願するお祭りだ。
「日本の奇祭の頂点とも言える『かなまら祭り』は、少々マニアックではありますが全国にファンが多くいる人気のお祭りです。神輿の解説や巫女さんによる舞の披露、普段は見ることのできない神事の様子をTwitterでライブ中継したりと、オンラインならではの趣向を凝らし、2日間にわたり開催しました。おかげさまでTwitterの投稿閲覧数は約26万人、ライブ配信動画は2万回以上再生され、大反響を頂きました」
Twitterのコメントには、「来年は開催されますように」「地元の名物が中止になって残念だったけど、配信で楽しめて嬉しかった」「貴重な神事の様子が見られて良かった」といった声が多数寄せられた。また、『かなまら祭り』は外国人にも人気で、例年来場者の半分を旅行客が占めることから、海外からのコメントも多く見られたという。