のちの主君・織田信長、終生のライバル・羽柴秀吉……戦国乱世の主役たちと、主人公・明智光秀の関係はこれからどう描かれるのか。NHK大河ドラマ『麒麟がくる』放送再開後の見どころを、歴史作家の島崎晋氏が解説する。(写真提供:NHK)
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6月放送の「決戦!桶狭間」(第21回)を最後に休止状態だったNHKの大河ドラマ『麒麟がくる』が、8月30日に再開される。
放送休止前までは、主人公・明智光秀(長谷川博己)が、生国である美濃と主君・斎藤道三(本木雅弘)のため、美濃と京の都、尾張との間を東奔西走する様子を描いた「美濃編」に続き、戦国大名・朝倉義景(ユースケ・サンタマリア)が治める越前を拠点にしながら時局に関わる様子を描く「越前編」の開幕まで、話が進んでいた。
ここまでの光秀に関して、史料的な裏付けはまったくない。『麒麟がくる』の脚本家が創造力豊かに、重大な出来事と光秀の歩みを絡めているのである。
参考までに、美濃編から越前編にかけての主な出来事は以下の通りである。
・1556年4月……長良川の戦い。斎藤道三が戦死
・1559年2月……織田信長が初めて上洛。刺客に遭遇
・1560年5月……織田信長が桶狭間の戦いで今川義元を討ち取る
ドラマ第17回「長良川の対決」では、斎藤道三と嫡男・斎藤高政(伊藤英明)の父子対決の結末、第18回「越前へ」では、道三に味方した光秀の叔父・明智光安(西村まさ彦)の最期が描かれた。光秀は母の牧(石川さゆり)や正室の熙子(木村文乃)、甥の左馬助(間宮祥太朗)などともに越前に落ち延びる。
越前編に入って2話目の「信長を暗殺せよ」(第19回)は、越前の朝倉義景の使いとして上洛した光秀が、斎藤高政による信長暗殺の噂を耳にし、京の実力者である松永久秀(吉田鋼太郎)の助力を仰いで、計画の実行を未然に阻止するという展開。続く第20回「家康への文」は、松平元康ことのちの徳川家康(風間俊介)を今川義元(片岡愛之助)陣営から引き離すべく、斎藤道三の娘で織田信長の正室となっていた帰蝶(川口春奈)に、光秀が策を授け実行させるという展開だった。