8月下旬。例年ならこの時期は、子供たちが積み残した夏休みの宿題に追われるのが風物詩だった。だが、今年はコロナにより1学期の授業日数が減った影響で、ほとんどの小中学校で夏休みが短縮。すでに2学期が始まっている。
2人の小学生の子供を持つ、東京在住の40代母親はこう語る。
「うちの子供たちの夏休みは約3週間。宿題は、1年生が『アサガオの観察記録』だけで、6年生は『自ら課題を見つけて弱点を克服しよう』という漠然としたもの。ドリルも自由研究も何もありませんでした。帰省も旅行もできないし、学校のプールも開放されていない。外出を控えるように言われているから友達とも遊んでいません。子供たちも、夏休みという感じがしないでしょうね」
異例尽くしとなった今年の夏。大人たちが小さかった頃の「夏休みの経験」を振り返れば、近年、そして今年の子供たちの夏休みは大きく様変わりしていることがよくわかる。
●昔の夏休みといえば…
夏休みの宿題の代表格、「自由研究」。かつてはカブトムシやクワガタを捕まえて「昆虫採集」をテーマにしたり、段ボールで作った工作が夏休み明けの教室に並んだりしたものだ。鉄道会社が運営する「スタンプラリー」に参加して、全駅制覇したスタンプ帳を提出する生徒もいた。
学習面で、大人にとって懐かしいのは「夏休みの友」「夏休みの生活」といった小冊子ではないか。計算問題を始めとした1学期の復習や日記などが課題としてまとめられ、夏休みの最初には「1日○ページ」と計画を立てるものの3日坊主、8月29日あたりから泣きながら(親に手伝ってもらいながら)やっつけるのが“小学生あるある”だった。8月末に書く7月の日記のために、過去の天気を調べるのにも苦労した。
夏休み中に行く学校のプール開放も楽しみの一つだったという大人も少なくないだろう。学校で飼育しているリスや鳥の世話当番で登校することもあった。
毎朝、ラジオ体操に出かけて出席スタンプを競ったり、ラジオ体操後は町内会の人が配ってくれるアイスに並んだりしたという記憶を持つ人もいるのではないか。