不祥事やコロナ感染などの影響で、当事者のタレントに代わってテレビ番組に代打で出演するタレントに注目が集まっている。「いつもより面白い」「違和感ある」など視聴者の反応はさまざまだ。新型コロナウイルスに感染した爆笑問題・田中裕二(55歳)の代打で『サンデージャポン』(TBS系)のMCを務めた、ずんの飯尾和樹(51歳)の場合はどうだったのか。コラムニストのペリー荻野さんが分析する。
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今、さまざまな事情で番組出演ができなくなったタレントに替わる「代打出演」が増えている。代打タレントはいつもの番組の流れにどう乗るか、はしゃぎすぎても小さくなりすぎてもつまらない。自分の立ち位置を見つけるのはなかなか難しいのだ。
そんな中、「代打出演の完成形」にも見えたのが、爆笑問題田中裕二の代打で『サンデージャポン』に出た飯尾和樹である。
飯尾の代打成功ポイントは、3つある。まず、第一は「適当に粗末に扱われる」
番組冒頭から下を向いてばかりの飯尾。安倍首相退陣で、言い間違いが許されない各議員の名前やら政治用語やらが飛び交う中での進行役にカチカチ状態だ。そんな飯尾の様子を見逃すはずもない太田光が「緊張が伝わってくるんですけど」と言い出し、どう答える飯尾?と思ったら「こんな分厚いカンペあるんですよ」と手元のカンペを見せた。
一見、開き直った態度としか見えないが、カンペを見せることで、普段、田中がどんな風に進行していたのか視聴者にも伝わると同時に、飯尾の田中へのリスペクトも見えた。しかも、こんなに困っていると表明しても、スタジオの太田をはじめ、ぺこぱも壇蜜も、もちろんテリー伊藤も誰も助けない。飯尾、困ったまま。だが、ここでは「困った飯尾」が面白いので、それでいいのである。
そして、田中から番組へのメッセージが読まれると、そこには代打の飯尾への言葉はなし。飯尾は「俺の名前がない!」とガックリ。いいのいいの。ガックリしたり、困ったり。適当に粗末に扱われるのがこの番組での飯尾の立ち位置なんだから。
成功ポイントその2は、「適当にスベる」。番組の途中でメガネを頭上に置いて「女編集長」などとネタをやって、スベりまくってしまった飯尾。だいたい田中は、番組の中でネタはやらないのに、なんでこういう展開に?と思うが、ここでスベらず爆笑となっていたら、かえって居心地が悪かったに違いない。あちゃー、やっちゃったよ~とハラハラしつつ、番組から目が離せなくなった視聴者も多かったはず。おかげで「あちゃー」がお約束のデーブ・スペクターの影が薄く感じられた。