国際情報

【アメリカ発】中国も民主党も科学を政治に利用するな

中国では政治と科学は表裏一体(Avalon/時事通信フォト)

 アメリカのコロナ対策を主導する疾病予防管理センター(CDC)が迷走している。その姿勢が民主党寄りだと批判されると、今度は「濃厚接触者でもPCR検査は不要だ」と、経済復興を優先したいトランプ大統領を援護射撃するような新基準を発表して混乱を招いた。保守派の論客として各種コラムで活躍するJames D. Best氏は、CDCは民主党寄りであるという立場から警鐘を鳴らす。

 * * *
 政府は宗教、芸術、科学に属するものではない。しかし、残念ながら権力者はこれら領域を支配し、利用しようとする。一般的に、独裁者は宗教を抑圧し、芸術を利用し、科学を支配しようとする傾向がある。

 中国科学院(CAS) は、中国における科学全般に関する研究や相互連携の中心である。CASは、アメリカおよびその他の地域における科学研究に資金を提供している。6万人以上の研究者を直接雇用し、100以上の機関で構成されている。中国共産党はCASに対し、自由な資金運用を許可し、CASは30社以上の株式を保有している。一例だが、CASは世界の3大パソコンメーカーのひとつであるLenovoの筆頭株主だ。

 もっとも、CASが本当に共産党から独立しているわけではない。対外的にはそうアピールしているが、実際には理事会のメンバーには党幹部が就いている。ネイチャー誌が「70年目の中国科学院」と題した社説に掲載したCASの広報責任者からの回答文は、非常に示唆的なものだった。

《CASは、ご想像のとおり、政府から独立して運営されているわけではない。CASの確立と発展は、すべて中央政府の知恵と支援に基づいている。

 CASは経済的自立性を求めたことも達成したこともない。過去40年間で、その収入の半分は中央政府からの直接投資であり、その資金と政府の支援なしには発展できなかった。

 CASは、政府とも国民とも強固な関係を築いており、中国の内政に関する偏った考えや、政治的・イデオロギー的立場で我々の活動を評価することに強く反対する。》

 中国では文化大革命の時代に、「拷問は日常茶飯事であり、CASの記録によると、この期間に229人の科学者が殺されたり、自殺したりした」(ネイチャー)という。

関連キーワード

関連記事

トピックス

6月は“毎年絶好調”というデータも(時事通信フォト)
《ホームラン量産モードの大谷翔平》6月は“毎年絶好調”で「月間20本塁打」もあるか? 見えてくる「年間60本塁打」昨季を超える異次元記録
週刊ポスト
イケオジたちの魅力を山田美保子さんが語る
竹野内豊、仲村トオル、阿部寛、そしてロバート秋山竜次も…“アラフィフ・アラ還”イケオジ芸能人たちの魅力 高身長という共通点も
女性セブン
“教育虐待”を受けたと主張する戸田容疑者の家庭環境とは── (時事通信社)
「母親から数万円の振り込み断られた」東大前駅切りつけ事件・戸田佳孝容疑者(43)の犯行動機に見える「失われた世代」の困難《50万人以上の高齢者が子に仕送りの推計データも》
NEWSポストセブン
秋篠宮と眞子さん夫妻の距離感は(左・宮内庁提供、右・女性セブン)
「悠仁さまの成年式延期」は出産控えた姉・眞子さんへの配慮だった可能性「9月開催で眞子さんの“初里帰り”&秋篠宮ご夫妻と“初孫”の対面実現も」
NEWSポストセブン
性的パーティーを主催していたと見られるコムズ被告(Getty Images)
《フリーク・オフ衝撃の実態》「全身常にピカピカに」コムズ被告が女性に命じた“5分おきの全身ベビーオイル塗り直し”、性的人身売買裁判の行方は
NEWSポストセブン
大食いYouTuber・おごせ綾さん
《体重28.8kgの大食いタレント》おごせ綾(34)“健康が心配になる”特殊すぎる食生活、テレビ出演で「さすがに痩せすぎ」と話題
NEWSポストセブン
美智子さまが初ひ孫を抱くのはいつの日になるだろうか(左・JMPA。右・女性セブン)
【小室眞子さんが出産】美智子さまと上皇さまに初ひ孫を抱いてほしい…初孫として大きな愛を受けてきた眞子さんの思い
女性セブン
出産を間近に控える眞子さん
眞子さん&小室圭さんがしていた第1子誕生直前の “出産準備”「購入した新居はレンガ造りの一戸建て」「引っ越し前後にDIY用品をショッピング」
NEWSポストセブン
不倫報道の渦中にいる永野芽郁
《永野芽郁が見せた涙とファイティングポーズ》「まさか自分が報道されるなんて…」『キャスター』打ち上げではにかみながら誓った“女優継続スピーチ”
NEWSポストセブン
子育てのために一戸建てを購入した小室圭さん
【眞子さん極秘出産&築40年近い中古の一戸建て】小室圭さん、アメリカで約1億円マイホーム購入 「頭金600万円」強気の返済計画、今後の収入アップを確信しているのか
女性セブン
カジュアルな服装の小室さん夫妻(2025年5月)
《親子スリーショットで話題》小室眞子さん“ゆったりすぎるコート”で貫いた「国民感情を配慮した極秘出産」、識者は「十分配慮のうえ臨まれていたのでは」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「コメ上納」どころではない「議員特権の米びつ」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「コメ上納」どころではない「議員特権の米びつ」ほか
NEWSポストセブン