“家族間トラブル”にとらわれ続けた人生だった。幼少期は両親の離婚裁判に巻き込まれた。自らの結婚は、夫の不倫トラブルに巻き込まれ、離婚する事態に。そしてその裏では、実母に訴えられ──だが、杏(34才)の新しい人生の一歩がいま始まる。
「最近の杏さんは憑き物が取れたようにすっきりしています。今年1月の東出昌大さん(32才)の不倫報道後から離婚まで長い時間をかけて、子供の将来を最優先にした新しい生活の形を考えてきた。だからいまの選択に悔いはなく、離婚発表後は父・渡辺謙さん(60才)の別荘で知人男性らとリフレッシュ。東京に戻ってからも別の知人たちが自宅に頻繁に出入りし、杏さんの近くには常に誰かがいる日々です」(杏の知人)
離婚公表から1か月。杏の中ではすでに客観的に振り返ることのできる過去になっているようだ。『婦人公論』(9月8日号)では、作家の浅田次郎氏と対談し、子供たちの成長についてこんなふうに語っている。
《ジイジ(渡辺謙さん)のこともわかっているし(笑)。前にNHKのスタジオパークに行ったときに、ポスターを見て「これジイジだよ、お父さん(東出昌大さん)だよ、おじさん(渡辺大さん)だよ」って》
父や兄だけでなく、実に自然に元夫の東出の存在にも触れていたのだ。これ以外にも、映像化された浅田氏の作品に「父と兄が出ている」と、周囲が気を使うのを避けるかのように、自ら積極的に家族について語る杏。しかし、ひとりの人物には決して触れようとしない。杏を産んだ実の母・A子さんについては、頑なに口をつぐむのだ。
「最近、杏さんが前向きな理由は、離婚成立だけではありません。杏さんの個人事務所の社長を務めているA子さんとの骨肉裁判に、ようやく終止符が打たれたからでもあるんです」(芸能関係者)
3年間続いたその争いは、まさかの和解という形で終結を迎えたのだ。和解は、東出との離婚とほぼ同時期に成立している。和解調書などは開示されていないが、長く続いた家族の不幸は、杏がいくつもの関係を手放したことで、ようやく終着点を見たのだ。
骨肉裁判の内容に触れるには、まず複雑怪奇な家族模様を振り返る必要がある。杏は1986年に渡辺とA子さんの間に生まれた。兄弟は、2つ年上の俳優・大(36才)。杏が誕生した翌年、渡辺は、NHKの大河ドラマ史上最高の視聴率をたたき出した『独眼竜政宗』の主役を演じきり、一気に人気俳優の仲間入りを果たす。
ところが、杏が3才のとき、渡辺は急性骨髄性白血病を発症。主演するはずの映画を降板し、闘病生活に入るが、1993年に再び大河ドラマで主演し、完全復活。ところが翌年に再発し、1995年に2度目の復活を果たす。この頃のことは、すでに小学生になっていた杏もしっかりと覚えているだろう。その後数年は、杏は渡辺の娘として、可能性に満ちた未来に向けて歩んでいた。
突如、関係に亀裂が
しかし2002年に家族の瓦解が始まる。両親が別居し、7月には、渡辺が「離婚成立」と「子供の親権」を求めて、A子さんを提訴したのだ。高校生となった杏は、父親が母親を訴えるという、信じがたい事態を目の当たりにすることになる。さらに、裁判が進むにつれ、知りたくもなかった両親の姿に向き合うしかなくなっていくのだった。