日本人の“国民食”カレーライスとビタミンB1を豊富に含む豚肉のカツ。このふたつを一度に食べるカツカレーは、猛暑で疲れた身体に活力をもたらす絶好のスタミナ料理だが、その歴史は意外なほど古く、1918年に屋台の「河金(かわきん)」がカツ丼にカレーをかけたのが最初といわれている。
横濱カレーミュージアムの初代名誉館長で、カレー研究家の小野員裕(かずひろ)氏が語る。
「たしかに最古のカツカレーは『河金』ですが、現在のようにカレーライスの上にカツを乗せるスタイルは『銀座スイス』が原型です」
「銀座スイス」が1948年にカツカレーをメニューに載せると瞬く間に人気を呼び、追随する店が続出。とんかつ店や蕎麦屋をはじめ、さまざまな業態の店が独自のカツカレーを売り出し、1950年代以降全国的に広く浸透していったが、現在もその“進化”は止まらない。
1990年代に登場して市場を席巻したスパイスカレーの“カツカレー”もそのひとつだ。当初、スパイシーな味はカツに合わないとされたが、試行錯誤の末に“進化系”カツカレーとして多くの客を惹きつけている。
「カツカレーは海外でも十分に勝負できる料理。海外進出し、逆輸入されるカツカレーも今後、出てくるかもしれません」(小野氏)
※週刊ポスト2020年9月11日号