今年6月、東京・神保町のカツカレーの名店「キッチン南海」が60年の歴史に幕を落としたが、最後の日は2時間30分待ちの大行列となった。その後同じ神保町で別の店舗で営業を再開し、「カツカレー」に注目が集まっている。
100年あまりの歴史を持つ「カツカレー」の元祖は1918年、カツ丼にカレーをかけた屋台「河金」とされるが、今のようなカレーライスの上にカツを乗せるスタイルは1948年の「銀座スイス」が原型だという。
もはや「定番」となったスタイルと思われていたカツカレーだが、今では進化をみせている。スパイス使いや、意外なタイプの店が参入することで新しいカツカレーを生み出している。カツカレーの新潮流が味わえる3店を紹介しよう。
1年の試行錯誤でたどり着いた至高のスパイス
『カレー クローバー』 東京都台東区上野1-12-9-2F
【営業時間】11時30分~14時15分(L.O.)、17時30分~22時(L.O.)
【定休日】日・祝
カレー好きが高じて脱サラし、独学で美味いカレーを追い求めたという齊藤充氏。カレーのベースとなるスパイス作りは1年にもおよび、カルダモンやクローブをふんだんに使った約20種ものスパイスを使ったカレーにたどり着いた。
消化促進や脂肪分解、肝機能強化など、健康的な効能のスパイスが配合されているが、細かな調合は企業秘密。酸味はトマト、苦みはパプリカで整え、胃に負担をかける小麦粉を使わないため、さらりとした優しい味わいの健康志向カレーだ。
「チキンカツレツとフライドエッグのくろーばーカレー」(1000円・1日10皿限定)に乗せられたチキンカツは、砂糖と塩を入れた重曹水に漬け込み、柔らかくした胸肉を米油で揚げる。噛むたびにサクサクとした歯ごたえが口中に心地よく響く。