高校受験はここ数年、公立より私立を受験する生徒の増加が目立ったが、来年は一転、コロナ不況により公立高校の志望者が再び伸びると予想されている。では、狭き門となりそうな人気の難関公立校はどこなのか──。安田教育研究所の安田理氏がレポートする。
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公立高校の話に入る前に、なぜ近年私立高校が人気だったのか、その理由について触れておこう。
まずは、国の就学支援金の拡大(年収910万円未満の世帯にまで広がる)に加え、都県ごとの授業料助成金が上乗せになり、公立高校との学費の差が縮小したことが大きい。
次に、地方創生政策の一環で都内の私立大学の定員厳守が求められ、有力私立大学の入試が軒並み難しくなったことで有名私大の付属校を志望する人が増えたことが挙げられる。
3番目はこれとも関連するが、いつまでも安定した仕組みにならない大学入試の対策には、やはり私立高校のほうが一生懸命取り組んでくれそうだというイメージがあること。以上のようなことが私立志向の背景にはあった。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で、様々な業種が影響を受け、倒産、失業、給与削減……と不安は募るばかり。いつになったら好転するのか、先行きも見通せない状況である。
国や自治体の支援はあくまで「授業料無償化」であって「学費無償化」ではない。私立に進めば制服代、海外研修費用、部活費用もよりかかる。経済的理由で公立に絞らざるをえない家庭も多くなる。
また、公立高校のトップ校が大学合格実績を伸ばしていることから、学力上位層における公立志向に拍車がかかることも十分に予想される。
いまだに模擬試験の会場実施ができない状況なので、具体的な志望者数などの数値は得られていないが、ここで首都圏の1都3県についてどの公立高校が人気になりそうか予想してみよう。