「NO安倍」──そう書かれたプラカードを掲げ、安倍晋三首相退陣を強く要求してきた韓国の反日団体。突然の辞任劇をどう受けとめているのか。
慰安婦問題を追及し、ソウルの日本大使館前で毎週水曜集会を主催してきた旧挺対協(現・正義記憶連帯)に電話してみると、「かけ直す」と言われたきり、連絡がつながらなくなった。
昨夏ソウルの光化門広場で「安倍糾弾デモ」を主催した連合体「安倍糾弾市民行動」の参画団体は、主だった6か所に電話取材を試みたところ、名乗ろうとすると電話をガチャッと切られた。
慰安婦像の前で安倍首相を彷彿とさせる人物が土下座する像を設置したことで話題になった「韓国自生植物園」にも取材を試みたが、こちらも同じくガチャ切り。韓国事情に詳しいライターの河鐘基氏が語る。
「安倍首相の辞任を切望し、訴えていた市民団体でしたが、辞任すると取材には一切、口を閉ざしています。安倍さんのバックグラウンドや思想は、彼らにとって、批判することで国内の注目を集めることができる材料だった。それが急に辞任となり、矛先を向ける相手がいなくなってしまった。自らの存在意義を失ってしまったように思っているのでしょう。
安倍首相の辞任が取り沙汰され始めた8月23日、韓国紙『朝鮮日報』では、安倍首相と文在寅政権が『敵対的共生のパートナー』であり、国内政治に相手国を利用していたため、安倍首相の退場が韓日関係をどう導くのかと書いている。安倍首相の存在が、『反日』という旗印で韓国国内を一致団結させていたということです」
「ガチャ切り」も、“安倍ロス”の表われか。
※週刊ポスト2020年9月18・25日号