“ムネリン”の愛称で親しまれた川崎宗則(39)が独立リーグ・ルートインBCリーグ(以下、BCリーグ)の栃木ゴールデンブレーブスに加入したが、その栃木を率いる元巨人の寺内崇幸監督(37)をはじめ、BCリーグに指導者として携わるNPB経験者は少なくない。今年から新規参入した神奈川フューチャードリームスを率いるのが鈴木尚典監督(48)だ。ユニフォームを着るのはDeNAでコーチを務めていた2010年以来10年ぶりとなる鈴木監督が、選手の育成方針、目指すチーム像を語った。
BCリーグのシーズンが始まって2か月。9月7日時点で22勝12敗3分の好成績だが、口を突いて出るのは反省の言葉だった。
「もっと勝てるんじゃないかという思いが強いですね。攻撃、継投策であの決断は正解だったのかなと考えることは多い。選手は一生懸命にやってくれているし、勝敗に関しては監督の責任だと思っている。勝てる試合を引き分けにしたり、まだまだだなと。日々勉強ですよ」
鈴木監督は現役時代、横浜(現DeNA)のスター選手だった。1997、1998年にセ・リーグで2年連続首位打者を獲得。主軸を任された1998年には、チームとして38年ぶりの日本一に貢献し、日本シリーズMVPに輝いた。
選手として華々しい成績を残した鈴木監督だが、指導者として関わる独立リーグは未知の世界だった。
「練習する球場も毎日違う。球場に行ったらネットがなくて打撃練習ができないこともあった。NPBだとあり得ないじゃないですか。驚きの連続だけど毎日が新鮮で楽しいですよ。やっぱり野球は楽しいなって。自分は幸いなことに、プロ野球の世界で18年間やらせてもらって人との縁に恵まれました。横浜高校の渡辺元智監督、プロに入団後もコーチは竹ノ内(雅史)さん、高木由一さん、監督は近藤昭仁さん、大矢(明彦)さん、山下大輔さん、権藤博さん……指導者との巡りあわせで多くのことを学びました。
今、自分が神奈川フューチャードリームスの監督になり、山下大輔GM、荒波翔(球団アドバイザー兼コーチ)、林(裕幸)ヘッドコーチ、選手兼任投手コーチの乾(真大)もいる。色々な縁が重なってこのチームが成り立っている。この縁をたくさんの選手のプラスにしてあげたい。壁を作らず、しっかりコミュニケーションを取って本音で話せる関係を築きたいですね」