2008年に始まった「ふるさと納税」は、好きな自治体に寄付を行い、その寄付金から2000円を引いた金額が所得税・個人住民税から控除されるという制度だ。お得な上に各地の名産品が入手できることから、発足以来順調に利用者が増え、2018年には5000億円を突破。
だが、2019年は総務省指導の下、制度が変更に。「返礼割合3割超」と「地場産品以外」の返礼品を提供する地域・団体は同制度に基づく税優遇が受けられなくなった。それによって一部の違反自治体が“退場処分”になるなど、金額も約4875億円と初めて前年を下回った。
「今年は豪雨被害や新型コロナウイルス感染拡大の影響で、観光客の減少や飲食店・旅館・ホテルの休業による食材の注文や納入キャンセルが相次ぎ、行き場を失った食材が全国的に多かったことから、実は、例年以上に高還元率の返礼品が増えているのです」
そう語るのは、ふるさと納税の達人として知られる実業家の金森重樹さんだ。毎年多額の寄付を行うという金森さんのおすすめを聞いた。
「コロナ禍で需要が減った生産者を応援する『緊急支援品』や、豪雨被災地の特産品、どちらでもないが、秋に旬を迎えるお得なものを取り混ぜて選びました。特にいまは、内容はそのままに金額を引き下げたり、同じ金額で増量したりする返礼品が増えています。それが今年の大きな特徴です」(金森さん)
実際、例年以上にお得度がアップしている高級食材が多い。
「実は総務省の3割ルールの基準が仕入値か市場価格かは長い間グレーゾーンでしたが、最近は仕入値3割でも市場価格だと100%に近い高還元率の返礼品が登場しても、特に淘汰されていない状況から“返礼調達は仕入値3割”との暗黙の了解が広がってきたのです」
と分析するのは、ふるさと納税の比較サイトの1つである『ふるさと納税ナビ』の内田綾子さんだ。
「まつたけも受付はもう始まっており、秋の収穫物は旬の少し前に予約するとお得な場合も。早めのタイミングで注文するのがおすすめです」(内田さん)
コロナ禍の影響は続くとはいえ、足の早い旬の果物などは早めに申し込んでおこう。 そこで、ふるさと納税の達人が選ぶ、今年おすすめの「お得な返礼品」を12個紹介しよう。
■北海道白糠町「いくら醤油漬け500g」【寄付金額:1万円】
緊急支援品。「いくら丼なら約6杯分、軍艦巻きで約61貫分とボリュームたっぷり」(金森さん・以下同)。
■岩手県奥州市「前沢牛サーロインステーキ200g」【寄付金額:1万5000円】
畜産農家支援品。「通常3万7000円の寄付で200g×2枚(1枚1万8500円)なので3500円お得。鮮やかな霜降り肉、とろけるような舌触り、風味。前沢牛はこの三拍子が見事に揃っている文句なしの極上品」。
■山形県鶴岡市「令和2年産特別栽培米つや姫10kg(5kg×2)」【寄付金額:1万5000円】
農薬・化学肥料5割減の特別栽培米。令和2年産の新米が届く。「つや姫は冷めてもおいしくお弁当やおにぎりにもおすすめです。通常1万円の寄付で5kgなので、2.5kg分お得です」。
■京都府亀岡市「丹波栗 厳選大粒(篭入り)」【寄付金額:2万4000円】
緊急支援品。丹波四季菜料理 宮本屋厳選の大粒栗を200g増量中。「甘くて香り高い選りすぐりの特サイズ(2~3リットル)。栗ご飯、渋皮煮など秋の味覚をお楽しみください」。