新型コロナ、異常気象、経済不安……時代は混沌としている。この先どうなるんだろう、そんな心配と悩みが尽きないが、さはさりながら、私たちは前を向いて生きていかねばならない。どんな心持ちでこの先の人生を、上を向いて歩いていけばいいのか。女優・室井滋さんが“ぶっちゃけ寺メイト”の宝林寺住職・千葉公慈さんに訊いた。
室井:千葉先生とは『お坊さんバラエティ ぶっちゃけ寺』(テレビ朝日系)という番組でご一緒してからのご縁ですが、いまはお寺のご住職でありながら大学の学長もされているそうですね。
千葉:はい。千葉県市原市にある宝林寺の住職をしながら、昨年より曹洞宗の宗立大学である東北福祉大学で学長を務めています。
室井:そこでまた不思議なご縁を感じてしまったのですが、実は私の早稲田大学時代の恩師である萩野浩基先生が長く東北福祉大学の学長をなさっていたんですよ。もうお亡くなりになられましたが、大学葬だったので私も末席でお別れの言葉を述べさせていただきました。
千葉:まさかまさか、そんなご縁があったとは。室井さんは“持っている”かた(笑い)。番組で猛烈な雨の中、高野山へお参りした際は室井さんが車の外へ出るとピタッとやんで、弘法大師の伽藍へ入った途端また土砂降りになったのには驚きました。伊勢神宮へ参拝したときも、室井さんが参拝したときに強い風が吹いて、その瞬間、御簾がフワッと上がって中が見えましたよね。
室井:あはは。私、不気味なほどの晴れ女なんですよ(苦笑)。千葉先生には“ぶっちゃけ寺メイト”として親しくしていただき、かねてからお寺のことなどを教えていただいていましたが、コロナ禍のこの激動の時代に悩みを抱えて救いを求めている人は多いのではないでしょうか。
千葉:おっしゃる通りです。周りのお寺も含めて、近頃は相談に足を運ばれるかたが非常に増えています。大学では哲学の授業を持っているのですが、これまた思いがけない反響がありまして。受講生はおそらく数人ですからと教務課にすすめられて気軽に開講したら、200人ほど集まりました。哲学系の授業は全般的に人気が高いです。「これからの人生をどう生きていいのかわからない」「精神的な支柱がほしい」と、履修動機にはそんな声が寄せられています。
室井:大学生活にしても就職にしても、具体的に将来を考えようとするほど、学生さんは不安でしょうね。