高視聴率を叩き出しているドラマ『半沢直樹』(TBS系)は悪役の見本市だ。振り返れば、名作ドラマには強烈な悪役がいたものである。『半沢』の白井亜希子(江口のりこ)のように、「女性の悪役」もドラマに欠かせない。
同じ女性政治家役で視聴者に強烈なインパクトを与えたのが、『相棒』(2004年・テレ朝系)シリーズの片山雛子(木村佳乃)だ。
外務大臣だった父の地盤を継いだ有望株の女性衆議院議員だが、政界で事件がある度にそれを利用してのし上がっていく。コラムニストの吉田潮氏はこう話す。
「ただじゃ転ばない野心家で、その貪欲な姿は小池百合子と稲田朋美を掛け合わせたような存在です。スーツ姿がとても似合う女優なので、またカチッとしたスーツを着て、別のインテリ悪女を演じてほしい」
恋愛ドラマでも悪女が重要な役回りを演じる。なかでも昼ドラ『牡丹と薔薇』(2004年・フジ系)の野島香世(小沢真珠)は衝撃的だった。
「目をむいて『役立たずのブタ!』などと激しく罵る姿は、かつての清純派イメージをかなぐり捨てるような好演でした」(ドラマ評論家の田幸和歌子氏)
『誘惑』(1990年・TBS系)の佳沢妙子(紺野美沙子)も外せない。
「主人公の藤家美冴(篠ひろ子)の夫・芳行(林隆三)を誘惑し、家庭を壊そうと画策する。息子の雄介(吉田栄作)にも粉をかけるわ、謎の男を使って美冴を落とそうとするわの策士ぶりだった」(吉田氏)
“嫌われ役”の姑が注目を浴びたのが、NHK朝ドラ『おしん』(1983年)の田倉清(高森和子)だ。田幸氏が振り返る。
「姑役として、高森さん演じる清を超えるいびり役はいませんね。おしんが身重になっても田植えなどをガンガンさせるし、少しでも働かないと『働かずに飯を食うのか』といびり倒す。舞台が佐賀だったため、『佐賀のイメージが悪くなる』と苦情が出たほどでした」