最近、からあげ店が街に大増殖している。2018年に全国1408軒だった店舗数は、今や2487軒にまで増えた。コロナ禍で外食産業が軒並み不振に陥る中、からあげが一大トレンドとなったのはなぜなのか。
からあげは子供も大人も大好きだが、ブームの理由はそれだけでは説明できない。外食ジャーナリストの中村芳平氏が解説する。
「からあげ店はテイクアウトの需要が多く、コロナ禍の巣ごもり消費とマッチしたことが大きい。それに有名チェーンはどこも原材料や人件費などを抑える工夫を凝らしており、それが急速な新規出店を可能にしています」
からあげ専門店の中でも特にテイクアウトに注力しているのが、国産鶏のみ使用にこだわる店舗数1位(174店)の「鶏笑」だ。本部統括の植元裕太氏が言う。
「テイクアウトを中心に、緊急事態宣言以降、売り上げは1.5割近く伸びています。大分・中津の工場で作ったタレを各店舗で鶏肉に付けて揚げるだけのシンプルな調理で、すべてマニュアル管理。そのためテイクアウト専門店であれば調理から接客まで1人で対応可能です。ピーク時を除き基本的に“ワンオペ”の態勢でコストを抑えています」
鶏肉の安さも“儲けのタネ”だ。鶏笑は3個・100グラム前後のムネを270円、モモを340円(いずれも税込み)で販売(地域により値段が異なる場合がある)しているが、その原価を教えてくれた。
「仕入れ値はモモがキロ700円、ムネがキロ350円ほどです。外国産ならモモでキロ400~500円くらい、ムネでキロ300円くらいが相場ですね。
当店の人気商品はジューシーな味わいのムネ肉。外国産とほぼ変わらない値段のムネに高い商品価値があるので、国産でもやっていける」(前出・植元氏)