国内

夜の街の「接待を伴う飲食店」から「堕ちる」女性たちの事情

キャバクラやガールズバーから移ってくる女の子たち

キャバクラやガールズバーで生計を立てていた女性たちにとって苦難の日々は続く

 第2次世界大戦後の大ベストセラー小説で、何度も映像化された『肉体の門』は、敗戦と貧困のため身を売りながら、たくましく生きた女性たちの物語だ。それから約70年後のいま、新型コロナウイルスの感染拡大によって、同じように困窮から身の振り方を変えた女性が続出している。キャバクラやガールズバーで働いていた女性たちは、それを「堕ちる」と呼んでいるらしい。ライターの宮添優氏が、様々な事情で「堕ちて」きた女性たちについてレポートする。

 * * *
「コロナになって、金が出せないから求人広告は全部引き上げた。でも、面接は増えたんだよね。要は『そういうこと』なんだよ」

 東京・豊島区内の風俗店経営・横尾真一さん(仮名・50代)は、新型コロナウイルス感染拡大による東京都の緊急事態宣言発令を知り、店が潰れないよう出来るだけ手元にお金を残すため、広告業者全てとの契約を打ち切った。広告は、男性客向けのもの、女性向けの求人広告と二種類があったが、どちらも引き上げたという。緊急事態宣言中は客がゼロ、と言う日も珍しくなく、女性従業員の半数以上が店を辞めた。

「あの時、女の子がたくさん辞めたけど、客も来ないからあんまり影響はなかったね」(横尾さん)

 異変が起きたのは緊急事態宣言が明け少し経った六月ごろ。男性客は、長年の勘から「いずれ戻る」と思っていたが、それよりも先に店の門戸を叩いたのは多くの女性だった。

「学生だけど学校もないしバイトもできない、といってお金に困ったって女子大生でしょ、あとは、契約社員だったけど仕事切られて食べるため、家賃の為に仕方なく、って子もいたね。でも一番多かったのは、キャバクラとかセクシーパブとか、風俗ではないけどその手前の業界で仕事をしていた子たち。女の子の間では『堕ちる』なんて言われてるらしいけどね」(横尾さん)

 キャバクラなど、いわゆる「接待を伴う飲食店」は、実際にクラスターが発生したことなどから、新型コロナウイルス感染の温床、悪の象徴のように言われてきた。繁華街のこうした店からは一気に客が消え、休業や廃業に追い込まれた店も少なくない。だからこそ女性たちは、客がゼロの店で働くよりもマシだと、少しは客が見込める横尾さんの店にやってきたのだろうと推測する。

「うちのような店は、おそらく雨が降ろうが風が吹こうが、来る客は来る(笑)。生理現象だからね。反対に、接待を伴う飲食店に行きたくてしょうがない、悶々して耐えられない、ってことある? その違いがあるよね」(横尾さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン