菅義偉・首相は選対副委員長だった2009年の総選挙では、「世襲以外の人が立候補を諦めてしまう」と党内の2世、3世議員たちの猛反対を押し切ってマニフェストに「世襲候補の制限」を盛り込んだ。その姿勢は、“世襲総理”である安倍晋三内閣の官房長官になってからも、続けてきた。
しかし、81歳の二階俊博・幹事長は世襲の準備を着々と進めているという。
「二階さんは公設第二秘書の三男に跡を継がせるつもり」(二階派議員)
二階氏の息子といえど当選は容易ではない。和歌山3区では世耕弘成・自民党参院幹事長が衆院への鞍替えを狙っている。政治ジャーナリストの野上忠興氏が語る。
「二階氏が菅氏を首相に担ぎあげたのも、引退後に世耕氏に地盤を奪われないためです。今回の総裁選での恩義がある以上、菅首相は選挙になれば二階氏の息子のほうを公認するでしょう」
総裁選では他にも麻生太郎・副総理や河村建夫氏をはじめ息子に跡を継がせたい長老たちがいずれも菅氏を支持した。かつての掛け声などどこへやら菅首相は永田町を“世襲天国”につくり変えようとしている。
※週刊ポスト2020年10月2日号