2018年に相続税の課税対象となった被相続人は11万6000人で、2014年の5万6000人から倍増した。亡くなった人のうち相続税の申告・納税が必要な割合を示す「課税割合」も2014年の4.4%が2018年は8.5%に急増した。中でも東京圏は13.6%(2018年)に相続税が発生している。
「この急増は2015年の税制改正によるものです」と指摘するのは、夢相続代表で相続実務士の曽根惠子氏。
「2015年の改正では、遺産から差し引かれる基礎控除の額が4割引き下げられ、幅広い人に相続税が課せられるようになりました。特に不動産価格の高い都市部に自宅があったり、親がちょっとした金融資産を持っていたり、生命保険に加入している場合、課税される可能性が高くなった。
その結果、相続税を払う人が倍増しており、今後も増加傾向が続くことは間違いありません。『相続税なんて関係ないよ』と高を括っていたら、痛い目を見ることになります」
身近になった今だからこそ、相続税の仕組みと対策を知っておきたい。
財産がいくらだと発生するのか?
相続税とは、故人から受け継ぐ財産にかかる税金を指す。
「基本的に亡くなった人のすべての財産が課税対象となります。主には土地や建物などの不動産、預貯金や有価証券、保険などの金融資産。車や貴金属、骨董品のような動産も財産とみなされます。また被相続人が死亡したことで発生する死亡保険金なども“みなし財産”として、非課税枠を超える分は相続税の対象です」(前出・曽根氏)