景気を活性化するとはどういうことか。単に株式市場が活況になればよいのか。円が強ければそれでよいのか。いや、やはり市井の人たちの暮らしぶりが上向くことがもっとも重要だろう。そのために「Go Toトラベル」や「Go Toイート」が実施されるかと期待したい。ところが、実際にはそうはいっていないようだ。ライターの森鷹久氏が、高級旅館と高級店にばかり利用者の興味が集中していると嘆く宿泊施設の声をリポートする。
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制度がわかりにくい、東京が除外される……など波乱続きだった「Go Toトラベルキャンペーン」も、蓋を開けてみれば、利用者にとっても、ホテルや旅館など宿泊業者にとっても概ね好評の様子。かくいう筆者も、実はこのキャンペーンをすでに利用し、サーフトリップを楽しんだ一人。といっても、宿泊した関東某県のホテルの担当者に聞いてもキャンペーンの手続きなどがよくわかっていない様子で、恩恵を受けられるのか不安だったが、領収書などを用意しておけば、事後申請でキャッシュバックを受けられることがのちに判明した。
不安を感じながら利用したのは一泊1万5000円程度の、ごく普通のホテルだったので割引額35%で5000円強が戻ってくるという。旅先の飲食店、土産店などで利用できるクーポン15%分も受け取ることができる、らしいのだが現時点で実施は9月めどということで、よくわからない。そもそも、キャッシュバック云々よりもまずは旅行がしたかったので、そのあたりは気にしなかった。
それでも「お得感」を感じたのだが、筆者が宿泊したごく普通のホテルは、海の近くという絶好のロケーションにもかかわらず、客はまばらだった。ホテル支配人に聞くと、次のように教えてくれた。
「東京の方が、キャンペーンの除外ということになり一斉にキャンセルされました。また、キャンペーンを使うのなら、より割引額が大きくなる方がいいということで、より高額な宿泊施設に人気が集まっています」(ホテル支配人)
Go Toトラベルキャンペーンでは、割引額の上限は一泊あたり1万4000円となっている。つまり、一泊4万円程度の宿泊施設を利用した場合に、割引額を最大に活用できる、ということになる。どのくらいを高級と受け取るかは人によるだろうが、一泊4万円の宿泊施設は十分に高級な部類に入るだろう。
「当ホテルはリーズナブルですから、いつでも来られるとか、わざわざ割引制度を使ってまで利用はしない、そう思われているのだろうと思います。近くの老舗旅館や高級リゾートホテルは、キャンペーンの利用客で賑わっているようで」(ホテル支配人)