子どもたち自身で考えることが尊重される学校が、9月7日に開校した。一般社団法人「MORIWARA」が運営する、森のようちえん「森のわらべ多治見園」(通称・森わら)の小学生対象の学校部門「大地組スクール」である。
森のようちえんは森や里山を教室とする自然育児を実践していることで知られる。園舎を持たないため国の決める幼稚園や保育園の範疇には含まれず、昨年10月からスタートした無償化の対象からも外されている。その代わり、国の規制に縛られず、「人間らしく生きる」ことを主眼にした育児が実現されている(活動の幅を広げるため、この9月にフットサルパーク施設の一部を賃貸して「園舎」としても活用)。
2009年に森わらを起ち上げたのは、現在も園長を務める浅井智子さんだ。なぜ今度は学校部門をつくったのか、彼女が語る。
「自然のなかで自由に育って卒園した子たちが、小学校に入ると苦しそうな表情をしているのが、ずっと気になっていたんです。既存の学校では何でも決められてしまって、それに子どもたちは従うしかない。窮屈でしかたないけど、ほかに選択肢がない。その選択肢を広げようと、思い切って起ち上げました」
スタート準備のオンライン授業を経て、月2回のフィールドワークも行い、そこには10人ほどが集まっていた。そして週4回の本格開校となったのだが、残ったのは1年生と2年生の女の子、3年生の男の子の合計3人だけとなった。
「母親か父親のどちらかが反対だったようです。理由はいろいろあると思います。公立学校なら無料ですが、ここでは月3万円の月謝が必要になることが大きかったのではないでしょうか」と、浅井さん。続ける。
「森わらの方針を理解してはもらっているんです。それでも親としては、普通の学校に適応してもらいたいとも思うんですね。だから大地組スクールを起ち上げて選択肢を示し、そうした親の気持ちを揺さぶりたいとも考えました」