台湾当局はパスポートの表紙に印字している「TAIWAN」の文字を拡大する一方、正式な英語名である「REPUBLIC OF CHINA」の文字を小さくするなど、表紙の一部を変更する図案を発表した。「CHINA」の文字が目立たなくなったことで、中国大陸からの旅客と間違われることがないようにするのが大きな狙いだ。
台湾当局によると、中国で年初に新型コロナウイルスの流行が拡大したことを受け、台湾人旅客がローマの空港で、中国大陸からの渡航客と間違われて、別室で衣服をすべて脱ぐように命じられて検査を受ける事例があったほか、「中国(大陸)の旅客を入国させることはできない」と通告されて台湾に戻らざるを得なかったケースも数件報告されているという。このため、台湾側は渡航先で中国大陸からの旅客と誤解されないようにする措置を検討していた。
パスポートの表紙の英語表記は2003年、独立志向の強い民主進歩党(民進党)の陳水扁政権時代に始まり、今回の変更もやはり民進党の蔡英文政権で行われた。デザインの大幅な変更は17年ぶりで、議会で承認されたのち、来年1月の発行分から適用するという。
台湾各紙によると、呉釗燮(ジョセフ・ウー)外交部長(外相に相当)は記者会見で、新型コロナウイルスの大流行以来、「台湾の人々は台湾が新型コロナウイルスを克服したことで存在感を増すとともに、中国から来たと誤解されるのを避けたいと思っている。この変更はそのような混乱を避けるのに役立つだろう」と述べた。
このうえで、呉氏は「この変更は、中台双方が統一に関する協議を行うという昨年の習近平・中国国家主席の提案とは関係ない」とも強調した。