通院による新型コロナの感染リスクを避けようと「病院離れ」が進んでいるが、それによって疾患の発見などが遅れる可能性がある。そうしたなかで知っておきたいのは、自宅でも“健康診断や人間ドックと同じメニュー”の医療検査が受けられるケースがあることだ。いくらで、どんな検査が受けられるのか。
オプション検査の項目も
新型コロナウイルスの「病院クラスター」は今も各地で報告されている。そのため、健康診断や人間ドックから足が遠のく人も増えている。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏の解説。
「今年6月に日本対がん協会が全国32支部に対して行なった調査によれば、新型コロナウイルスの影響によりがん検診受診者数が4月は85%減、5月は92%減となっており、通年で2~4割減となるのではないかという見通しを示している。そうした状況の中、自宅で受けられる各種の『在宅検診』が注目を集めています」
ここでいう在宅検診とは、自宅にいながら、自分で少量の血液や尿・便を採取し、検査機関に郵送。後日結果を受け取るというものだ。
大正製薬の「健康チェッカー」は、自宅に送られてきた専用キットを使い少量の血液を採取して返送する。約1週間後に、血糖値やコレステロール値、肝機能や腎機能の数値といった健康診断で調べるものと同様の検査結果が、専門家のコメントと併せて送られてくる。同社担当者の話。
「指先から自分で採血するのですが、実際に使っていただいた方からは、マニュアル通りにやれば痛みも少なく簡単だったなどの評価をいただいています」
人間ドックのオプションにあるような検査も自宅で受けられるようになってきた。たとえば、やはり微量の血液を採取し返送する「おうちでドッく がん男性用」がある。同サービスを展開するハルメク・ベンチャーズの松尾尚英氏が説明する。
「いわゆる『腫瘍マーカー』で、大腸がん、食道がん、前立腺がんのリスクをチェックできます。返送された血液を分析する機関は一般的な人間ドックと同じなので、検査精度は遜色ありません。結果について医師と電話で相談したり、インターネットを通じて検査後半年にわたり相談できるなど、その後のサポートも行なっています」