新型コロナウイルスの感染予防を徹底するため、少々の発熱でも「大事をとってお休み」する人が増えている。だが、一般企業では大事をとって休んだはずが、取引先にまで影響が及ぶなど、組織が大わらわの一大事に発展することも珍しくない。
同様の混乱は、職場だけでなく教育現場にも波及している。「コロナ禍以降、教育現場は地獄の様相」と明かすのは、公立中学校で数学を教える30代の男性教師だ。
「コロナ休校の遅れを取り戻す名目で授業数が増えた上、消毒や検温の時間も加わり、もうヘトヘト。それでもコロナ禍以前の『働き方改革』による残業規制は生きているので、仕事を持ち帰ることが増えました。
そんな中、7月半ばに50代の学年主任の女性が『37.5度はないけれど、体調が優れないので大事をとって』と休んだんです。彼女はクラス担任も持っていたため、他の教師が代わりに見なければならず、授業準備やテスト作り、採点に割けたはずの時間がなくなった。
学年主任は生徒が問題を起こした時に警察と連携をとったり対外的な対応をする立場でもあるので、代わりを誰がやるかなど、職員室はてんやわんやとなりました」
一方で、生徒には「大事をとってお休み」が“強要”されているとも。
「元気でも、熱が37度を少しでも超えている場合は、クラスメイトや教師にうつす可能性もあるので休んでもらうことにしています」(同前)
※週刊ポスト2020年10月2日号