DeNAベイスターズは、反攻の狼煙を上げるべき試合で、引導を渡されてしまったのかもしれない。9月20日、巨人はDeNAに5対0で完勝し、連敗を3でストップさせた。先発予定のメルセデスが左肘に違和感を覚えたため、急遽1軍登録された畠世周が先発マウンドに上がり、6回無失点で今季初勝利を挙げた。首位・巨人はマジック32(翌21日にはマジック31)となり、2位・阪神、3位・DeNAとのゲーム差は決定的になった。野球担当記者が話す。
「巨人は直前の3試合で24失点、1得点と嫌なムードで、1年前の“悪夢”を思い出していた。昨年、7月16日の時点で2位・DeNAに10.5ゲーム差をつけていたにもかかわらず、わずか3週間足らずで急失速。8月2日から横浜スタジアムでのDeNA戦で3タテを喰らい、0.5ゲーム差まで追い詰められた苦い経験がある。今年もゲーム差が開いているが、DeNAに同一カード3連敗を喫すれば、まだまだわからない。そういう意味でも、大事なゲームでした」(以下同)
DeNAは勝ち頭の大貫晋一を先発に立てたが、巨人は初回に坂本勇人のタイムリー、4回に丸佳浩の2ランと効果的に点を積み重ねていく。畠はバックの好守にも助けられ、0封を続けていく。3対0と巨人リードで迎えた5回裏、DeNAラミレス監督は2死ランナーなしで9番・大貫をそのままバッターボックスに送り、三振。直後の6回、大貫は丸にこの日2本目の一発を浴び、降板した。結局、この日はDeNAに流れが来ることなく、巨人の良い所ばかりが目立つ試合となった。
「畠は2年間白星がなく、先発では3年近く勝っていない。そんな投手にとって、勝利投手の権利が懸かった5回は最もきつい場面です。今季初先発の7月31日の広島戦では、1点リードの5回に危険球退場。8月16日の中日戦でも同点の5回に3失点。ラミレス監督がデータを重視するなら、5回の9番・大貫に代打を送るべきでしょう。
確かに大貫は100球に届いていなかったですし、2死ランナーなしの状況で躊躇したのかもしれない。しかし、3点リードされている。流れを呼び寄せるために采配で打開できるチャンスだった。DeNAは3連勝しないと意味がない。優勝したいのなら、絶対に取らないといけない試合。巨人は1勝2敗ならダメージを受けない。あらかじめ決めている型通りの采配をして、流れを変えられずに負けたという印象です」
9番が出塁すれば、DeNAは1番・梶谷隆幸、2番・ソト、3番・オースティン、4番・佐野恵太と強力打線が続く。鬼門の5回を迎えた畠にとって、3点はセーフティリードではなかった。