9月16日に発足した菅義偉新政権。官房長官の時代から「携帯電話料金の4割引き下げ」を業界に要請してきた菅首相は、9月18日には武田良太総務相と会談し、改めて引き下げを実現するよう指示した。これを受け、武田総務相は「できるできないではなく、やるかやらないかの話だ」と述べ、値下げ実現に意欲を示している。
一連の報道に、ネット上では〈安くなるのはありがたい〉といった歓迎の声がある一方で、それと変わらないくらいの数で〈国民の大多数は携帯料金よりもNHK料金の値下げの方がニーズが高い〉〈NHKの受信料を見直してほしい〉との声が上がっている。
実際、携帯料金については、格安スマホ業者が勃興しており、大手キャリアでもデータ通信量の上限を定めた格安プランが始まっている。それらのプランを利用すれば、携帯電話の月額基本料金がNHKの受信料(地上・衛星契約、口座振替・クレジット払いの場合で税込2230円)を下回るケースはざらにある。
一方、最近ではさまざまな動画配信サービスが誕生している。Netflixは月額880円(税込み、以下同)、Huluは1026円、Amazonプライムビデオは500円と、NHKより安い。
もちろんNHKの場合、こうした動画配信サービスと異なり、時事ニュースや災害時の情報提供、選挙広報、国会中継など“国民にとって必要だが民放では視聴率が取れなくて制作できないような番組”も、受信料で賄っているから放送できるという側面はある。
その反面、NHKのドラマや音楽番組、スポーツやバラエティ番組などは、好きな人にとってはかけがえのないものかもしれないが、興味のない人だと、強制徴収された受信料がこうした番組の制作に使われていることに不満をもっても何ら不思議ではない。
日本新聞協会は、今年5月22日、総務省の有識者会議に「NHKの『三位一体改革』に関する意見」と題した意見書を提出し、経営資源と業務の集中により、〈総額2000億円近い国民負担を削減できる可能性がある〉と提言。受信料収入年間約7000億円のうち、2000億円を削減し視聴者に還元すべきとしている。