夏でも猛威を振るい続けた新型コロナウイルス。これからインフルエンザの流行が始まり、さらなるウイルス禍にわれわれはさらされる。感染予防をより徹底しなければならない中で、ウイルス対策の最前線では、ある新しい分野の”除菌”が注目を浴びていた。
この半年で私たちの生活は大きく変わった。新型コロナウイルスにより、手洗いやうがいはもちろん、家庭内の消毒は大きな関心事となった。
それほど多くの人が衛生面に意識を払っていても、まだ手つかずの場所がある。それが寝具だ。
実はいま、医療業界では寝具の衛生面が脚光を浴びているが、そのきっかけになったのが、今年2月に発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」での集団感染だ。乗客乗員が下船した後、国立感染症研究所は船内のどのような場所からウイルスの遺伝子が検出されるかを調査。その結果、浴室内トイレの床に次いで、枕から多く検出されたのだ。
「枕にウイルスが多いのは、唾液や鼻水が付着しやすいからです。同時に、寝ているときに顔を触ったりして、手から枕以外の部分にウイルスが付く可能性も大いにある。寝具自体がウイルスの付着しやすいものといえます。マットレスは洗えないからこそ、医療施設ではシーツを徹底的に交換して対策をしています。しかし、“中身”までは消毒しきれません。最近では洗えるマットレスも出てきていますが、院内感染を防ぐためには、マットレスが洗えると、より理想的といえるでしょう」(ちくさ病院の内科医・近藤千種さん)
まさにいま、医療業界で注目の的となっているのが、マットレスまで丸洗いできる「洗える寝具」だ。
今年4月に開院したばかりの愛知県の藤田医科大学岡崎医療センターでは、オープンに先立ち、クルーズ船で陽性反応が出た乗客を受け入れた。
そして患者の退院後、病室内はもちろん、マットレスまで消毒を実施。驚くのはその方法だ。マットレスカバーだけでなく、マットレスの中材まで丸洗いしたというのだ。
一般的にマットレスの中材はウレタンやスプリングが多く、丸洗いは難しい。ではなぜ、丸洗いができたのだろうか。それは、同センターではエアウィーヴが販売する“洗えるベッドマットレス”を導入していたからだ。
なぜエアウィーヴは丸ごと洗えるのか
エアウィーヴはフィギュアスケーターの浅田真央さん(30才)やプロテニスプレーヤーの錦織圭選手(30才)らも愛用していることで知られる。寝具としての大きな特徴は、寝心地のよさ。優れた体圧分散によって体に負担をかけないため、多くのアスリートに愛用されてきた。昨年からはウェルネス事業に参入し、健康、医療、介護業界の要望に応えている。