放送日の金曜夜10時には、主婦が電話に出ない──とまでいわれ、“不倫ドラマ”の代名詞にもなった伝説のドラマシリーズ『金曜日の妻たちへ』(TBS系)。あれから約40年、シリーズすべての脚本を手掛けた鎌田敏夫さんが同作について語る。
『金曜日の妻たちへ』(以下、「金妻」)は3シリーズまであり、いずれも30代から40代の夫婦を主人公に、彼らの友情や恋愛を描いている。
1作目は「夫婦の友情」をテーマに、そして2作目は「既婚女性のセックス観」を、3作目は、道ならぬ恋に惑う男女を描いたイギリスの恋愛映画『逢びき』にちなみ、真面目な女性が既婚者との恋に落ちていく物語が描かれた。
初めからシリーズ化する予定はなく、1作目の反響を踏まえて続編が決定していったという。とはいえ、「同じものを書いてもつまらない」という脚本家・鎌田敏夫さんの提案で、メインタイトルだけは同一だが、物語も設定も、まったく別のものとして制作された。
しかし、いずれの作品にもいえることは、37年前の作品であるにもかかわらず、いま見てもまったく古さが感じられず、むしろ、いまだからこそ、より共感できる点が多いということだ。いま見ても新しい──なぜそう感じられるのか。それは鎌田さんが、3作品に共通して込めたメッセージが、いまもって私たちの課題になっているからだろう。
「ぼくは、このシリーズを通して、“女性も個人の思いで生きてほしい”というメッセージを伝えたかったんです」(鎌田さん・以下同)