《私は高校まで秋田で育った農家の長男坊であります。地縁、血縁のない私が政治の世界に飛び込んで、まさにゼロからのスタートでありました》
珍しくはにかんだ笑顔を見せながら演説する菅義偉首相(71才)と入れ替わるようにして大きな花束を持って官邸を後にしたのは、歴代最長の7年8か月にわたって在職した安倍晋三前首相。持病の潰瘍性大腸炎の再発で辞任を表明した際、財政界に限らず、各界からさまざまな意見表明やコメントが飛び出した。
特に注目を浴びたのは『オールナイトニッポンGOLD』(ニッポン放送、8月28日放送)においての歌手・松任谷由実の言葉だった。
《テレビでちょうど見ていて泣いちゃった。切なくて。私の中では、プライベートでは同じ価値観を共有できる。同い年だし、ロマンのあり方が同じ。辞任されたから言えるけど、ご夫妻とは仲よしです。もっと自由にご飯に行ったりできるかな》
発言をめぐって賛否両論が飛び交う一方で、「ユーミンと安倍さんって、お友達だったの?」と、一国の首相とカリスマ歌姫の思わぬ交友関係の発覚に驚く声も多かった。
実は2人は、同じ昭和29年(1954年)生まれの66才。かつ各界の同年生まれが顔を揃える「29年会」のメンバーでもある。同会に名を連ねる俳優で画家の片岡鶴太郎が語る。
「もともとは当時フジテレビのキャスターをしていた現神奈川県知事の黒岩祐治さんが発起人になって始めた会です。安倍さんと松任谷由実さんのほか、俳優の石田純一さんやフレンチシェフの三國清三さんらがメンバー。同じ年に生まれたさまざまな職種の人間が集まって、自己紹介や近況報告をし合っているのです。直近の開催は、昨年夏だったと思います」
昭和29年──この年に生まれた著名人は多彩だ。芸能界では松任谷、石田、片岡をはじめ、秋吉久美子、立川志の輔、古舘伊知郎らがいる。三國さんのほかにも作家の林真理子さん、『AKIRA』で有名な漫画家の大友克洋さん、建築家の隈研吾さんら文化人の姿も多く、安倍さんや黒岩さんら大物政治家もいる。いずれも還暦を6年も過ぎたとは思えないほど若々しく現役真っ盛りの面々ばかりだ。
※女性セブン2020年10月8日号