安倍晋三、松任谷由実、片岡鶴太郎、古舘伊知郎、石田純一……これらの人物の共通点は、「昭和29年生まれ」ということ。「いまの66才」はリタイア世代とはほど遠い。あまりに若々しく、まさに現役である。団塊世代のすぐ下で、10才で東京五輪、30代でバブル経済を経験した彼らたちについて、上の世代はどう見ているのか?
「私たちの世代からすると、甘い感じがする」
バッサリ斬り捨てるのは国際政治学者の舛添要一さん(71才)だ。昭和23年生まれの舛添さんは、戦後の貧しさを体感した「団塊世代」ど真ん中。
「私の幼少期は白いお米がなくて、サツマイモを混ぜて食べていたような時代。29年生まれはそうした戦後のいちばん貧しい時代を生きていないから甘いし、胆力がない。特に政治家は、私たちの世代に抑えつけられたという感覚を持っていて、いざ自分たちの天下が来たら好き放題やろうとする。順調なときはそれでいいけれど、トラブルが起きたときにもろい。今回の安倍さんのコロナ対策は、まさにそうした“弱さ”が出ていたように思えます」
同じく団塊世代である、家族問題評論家でエッセイストの宮本まき子さんも手厳しい。
「29年生まれが大事にする“私らしさ”は時に危うい。『自分の金でゴルフやパーティーを楽しんで何が悪い?』と開き直られても、社会貢献なき自己表現は『好き勝手』と紙一重。批判を浴びた“アベノマスク”も国民への接待費感覚で数百億円の税金を大盤振る舞いしたつもりだったのでしょう」
この「甘さ」や「もろさ」はときとしてファッションやメイクにも表れることもあるという。ファッションジャーナリストの藤岡篤子さんはいう
「この年代のファッションやメイクの傾向として、おしゃれ感度が高い一方で、子供っぽさや若さを引きずってしまいがちなところもあるように思えます。自分が若かった頃で止まってしまっていたり、やりすぎてしまったり。石田純一さんのファッションも、確かに“いまもあり”ですが、着こなしにいまの時代の軽やかさが反映されていないので古臭く見えてしまいます。
上の世代ならば吉永小百合さん、下の世代ならば鈴木京香さんのように控えめな洗練されたおしゃれを楽しめる人が、少ない傾向にある。それはバブルで主役に躍り出ることが多く、“引く”という経験が少なかったことも関係しているのではないでしょうか」(藤岡さん)
厳しい指摘の一方、下の世代に彼らの姿はどう映っているのか。やはり昭和29年生まれである落語家・立川志の輔の長男で、梅干しのプロデュースなどを行う会社「BambooCut」の竹内順平さんは、「父の世代がうらやましい」と語る。