菅義偉・新首相(71)率いる新内閣は支持率「74%」(読売、日経)と上々の滑り出しだ。庶民派イメージと「携帯料金4割値下げ」「新婚夫婦に60万円支給」「不妊治療の保険適用拡大」といった公約で、女性や若い世代からさらに支持を集めようとしている。
そうした政策の裏で、自民党では公約とは逆の「長老支配」が進んでいる。
党執行部は81歳の二階俊博・幹事長と75歳の森山裕・国対委員長が仕切り、新任の佐藤勉・総務会長(68)、下村博文・政調会長(66)、山口泰明・選対委員長(71)を合わせた執行部中枢メンバーの平均年齢は72.2歳だ。
閣僚では再任された麻生太郎・副総理兼財務相が80歳を迎え、平沢勝栄・復興相は歴代最年長の75歳で初入閣した。政治ジャーナリスト・野上忠興氏は「菅一強」にはほど遠い政権の実情をこう指摘する。
「菅首相は総裁選で圧勝したとはいえ、無派閥で党内基盤が極めて弱い。“総理にしてもらった恩人”である二階幹事長の意向には絶対逆らえない。加えて、いまは渋々、菅氏を支持している麻生派が敵に回った途端に主流派体制が崩れて政権維持が危うくなるから、麻生副総理の言うことも聞かざるを得ない」
新政権の組閣人事でも、菅氏は二階氏の要望を丸呑みした。
「菅総理は河野太郎氏を総務相に内定していたが、土壇場で二階氏が難色を示し、総務相には二階派の武田良太氏が横滑り。河野氏は2度目の行革相に回らざるを得なかった」(菅側近議員)