台風12号では、東日本から北日本にかけて大雨や暴風への警戒が呼びかけられた。9月初頭にも台風10号が九州地方を襲い、広い範囲で大雨と暴風の被害を巻き起こした。7月には熊本県を中心に集中豪雨が発生、球磨川の氾濫がもたらした甚大な被害も記憶に新しい。
日本列島を次々と災害が襲う中、気になるのは、同じエリアの住宅なのに「被害を受けた家」と「そうでない家」があることだ。その違いはどこにあるのか──相次いだ災害の実例から探った。
●「3階建て」「バリアフリー」は浸水しやすい
『災害に強い住宅選び』(日経BP刊)の著者で不動産コンサルタントの長嶋修氏が指摘する。
「バリアフリーは段差を少なくするため、建物の基礎を低く設計しているケースがあります。狭い敷地にある3階建て以上の住宅も設計上、基礎を低くせざるを得ない。
基礎とは建物と地面のつなぎの部分を指し、基礎が低い住宅は地面を掘って建物の土台を作っている。そのぶん、台風やゲリラ豪雨などで周辺の河川が氾濫した際、他の住宅では床下浸水なのに、基礎が低いために床上まで浸水することがある」
NPO法人減災教育普及協会理事長の江夏猛史氏は「玄関に車椅子用のスロープを設置している家もリスクがある」と指摘する。
※週刊ポスト2020年10月9日号